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経済評論家 小倉豊
メガバンクの動乱
間に合わなかったUFJの資本対策
五月二十一日、住友信託銀行への三千億円と言われるUFJ信託銀行売却合意によって、大手銀行再編の、おそらく最終局面の動乱が口火を切った。

振り返ってみよう。信託売却は、UFJグループのなりふり構わない生き残り策だったはずだが、その発表のわずか七週間後の七月十四日、合意を根底からひっくり返す三菱東京、UFJ両グループの全面統合交渉入りが表面化した。裏切られた形の住友信は、即座に、地裁に差し止め仮処分を申請し、司法は交渉差し止めの仮処分決定を下した。これだけでも迷走が不可避な情勢の中で、同三十日には、三井住友グループがUFJ銀行との統合に名乗りを上げ、住友信と共同歩調を取りつつ三菱東京に対抗。UFJを挟んで正面対決の異例の展開を見せている。司法判断も絡んで行方は混沌としている。

この大動乱の背景には、金融庁の特別検査で、大口融資先への不良債権償却を大幅に積み増すよう指導を受け、前三月期に四千億円の巨額最終赤字に負い込まれたことがある。併せて、当局はUFJに対して検査忌避の疑いがあるとして、刑事告発の可能性を示唆して経営陣を退陣に追い込んだ。これにより、信託売却による三千億円の調達では資本対策が間に合わなくなったように見える。

おそらく、基本的にUFJは、昨年秋以降の景気回復基調も手伝って、期間収益による緩やかな大口不良債権の処理が可能と判断していた。それを許さなかった金融庁の対応は、予想外だったはずだ。

しかしながら、UFJとしても、ダイエー、双日、大京、藤和不動産、アプラスなどの処理に資本力が耐え切れなくなる事態を想定し、何らかの救済を求める形の資本政策をシュミレートしていたのも事実らしい。関係者によると、昨年の秋口の取締役会で不測の事態を想定し、事実上の救済合併の打診先を三菱東京にすべきか、三井住友にすべきか、真剣な論議がなされている。その際、相手先を三菱東京にし、打診の機を探る方向に傾いたが、最後に強烈な反対論が展開されて議論の統一は見送られたという。それは結局、実現すれば旧三和銀行と三菱の間で埋没せざるを得ない旧東海銀行の反対論だったようだ。すんなり理解しづらいが、旧東海銀的な立場からは、旧三井(さくら)銀、旧住友銀、旧三和銀が鼎立する体制ならば、何らかの存在感を主張できるということなのか。

また、別のUFJ関係者によると、同行企画部門内では、既に二―三年前から外資を中心とした第三者割当増資をめぐる真剣な議論が展開されていた。二年程前には最有力の救済打診先はシティ・グループであり、シティへの傘下入りを前提とした生き残り戦略が議論の焦点だったという。もっとも、外資といえば最近、UFJに最も積極的に救済の手を差し伸べていたのはHSBC(香港上海銀行グループ)だったことは広く伝わっている。そこに急転直下のメガバンクによるUFJの争奪戦の勃発。想定から大きく軌道を外れたUFJの生き残り策の着地点はまだ見えない。



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