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| 日産自動車復活の立役者、カルロス・ゴーン社長が焦っている。中期経営計画「日産180」に掲げた販売目標の達成が危うくなっているためだ。「コミットメント(必達目標)を達成できなければ辞める」という就任以来の明快な経営哲学は最大の試練を迎えている。 復活ののろしを上げた「日産リバイバルプラン」に続く「日産180」は、いわば復活の総仕上げ。その中身は、通常は二律背反関係にある利益と売上高を同時に増やそうというものだ。 ゴーン社長の悩みは、遅々として進まぬ販売増だ。二〇〇五年九月までの一年間の世界販売台数を一九九九年度実績から百万台増やすという「日産180」の進ちょく率は、五割程度。焦ったゴーン社長は、今春、不振が続く国内販売の担当役員を事実上更迭。さらに地域別の目標を見直し、国内と欧州市場を下方修正する代わりに自らが担当する北米市場などの目標を上方修正した。 国内市場では巻き返しに向け、今秋から高級スポーツ用多目的車(SUV)「ムラーノ」や高級セダン「フーガ」など六車種を投入する。ただ、それでも百万台増は難しいとみられている。 販売不振の背景として、コストカッターと恐れられたゴーン社長の下で経費削減に成功した一方で、魅力的な車作りがおろそかになっていると指摘する声は少なくない。販売が比較的好調なのは、「マーチ」や「キューブ」といった小型車や他社からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける軽自動車で、利幅の薄い車種ばかり。 ヒット車がないまま台数増にこだわれば、値引き合戦に巻き込まれ、自社登録といった無理な販売を生む。そうなればせっかく築き上げた利益体質を損ないかねない。「利益」と「売り上げ」の二兎作戦は日産には早すぎたとも言える。 無理に思える目標を次々に達成することで社内を活性化し、日産復活への好循環を作り出したゴーンマジック。その真骨頂は「業績悪化を経営環境悪化のせいにしない」ことだったはず。だが最近のゴーン社長の記者会見では「予測通り需要が伸びなかった」、「(軽自動車など)低価格車に顧客が流れている」といった言い訳めいた言葉が目立ち、かつて国内需要が落ち込む中でも販売増を実現した日産リバイバルプランの頃の威光が薄れかかっているように見える。 来春、ゴーン社長は、古巣である仏ルノーの最高経営責任者(CEO)も兼務。世界の一流自動車メーカーの証である「四百万台クラブ」入りを目指し、ルノー・日産連合の指揮を執る。 欧州市場で不振の続くルノーにとって、日産は大事な稼ぎ頭。このため「日産180」が達成できなかったとしても、ゴーン社長が退任する可能性は低く、ゴーン社長の悩みはいかに世間を納得させる言い訳をひねり出すかにありそうだ。 |
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