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| 第二次小泉改造内閣で竹中平蔵氏に代わって伊藤達也氏が金融相に就任した。伊藤金融相は「竹中路線を踏襲し、金融改革の総仕上げをしたい」と、金融行政の継続を訴えている。10月8日には、継続案件だったUFJ銀行に対する銀行法違反の刑事告発を決断。金融機関に対する厳しい対応を核とする「強硬路線」を実行してみせた。 そして今回、金融庁は、そのUFJグループがメーンバンクを務める流通大手、ダイエーの不良債権処理についても、大手行の不良債権半減目標を盾に、暗に産業再生機構送りを後押ししている。ダイエーの「処理」によって、UFJのダイエー向け債権がそっくり「正常債権」に格上げされるからだ。 しかし、「竹中路線」を継承したこうした不良債権処理の強引な進め方に、金融界では改めて不満の声が上がっている。とりわけ、地域金融にかかわる地方銀行や信金・信組の間では、金融機関の検査にばかりエネルギーを集中する金融庁の対応に「金融行政の肥大化」を危惧する声が強い。 例えば、全国地方銀行協会の瀬谷俊雄会長(東邦銀行頭取)は、焦点の不良債権処理について、「金融庁も検査は行き過ぎと本当は分かっているはず。地方の不良債権はバブル期のものではなく、その後の長期不況で新たに発生したものばかり。引き当てを積んで一度に処理しようとしても無理。地方で大事なことは時間をかけて対処していく粘り強い対応だ」と言い切る。 確かに、金融庁は、大手行と違って地域金融機関には不良債権処理の時間的目標を設定していない。だが、地銀などの金融検査では現場の検査官の指揮の下、個々の債権査定をめぐって銀行側と激しい衝突が繰り返されているという。地方経済が年々疲弊していく中、新規貸出先の開拓すら難しい状況で、「銀行をいじめるばかりで経済は少しも良くならない」悪循環に陥っているとさえ言われる。 ある大手地銀の首脳によると、その根本原因は、BIS規制に基づく自己資本比率規制を金科玉条のように固守する金融庁の対応にあるという。国内基準の4%をクリアしていても、実際は国際基準の8%に限りなく近づけるよう指導され、オーバーバンキング状態の特定地域の銀行には、陰に陽に合併再編等の対応を示唆されることもある。実際、そのために政府が資本注入できる新法までできている。 過去二年間の竹中金融行政は、不良債権の早期処理を何よりも最優先して、それに耐えられない銀行には公的資金を注入して国有化するという荒療治であった。大手行については、それなりの成果を上げたことは事実だが、一方で間違えたのは、銀行は不良債権処理を終えればリスクをとって新規貸し出しを拡張すると考えたこと。事実は全く逆で、全国銀行貸出残高は年々減少の一途をたどり、とくに地方でその傾向が強い。 また、本来ルールに基づく「事後規制」であるべき金融行政が、「竹中路線」が定着するに伴い、様々な指針やルールが独り歩きを始め、それに違反しないよう金融機関を誘導していく行政指導型に変質してきたことも大きい。金融検査はまさにそうした「事前規制」の格好の道具となり、金融機関にとって今や「検査リスク」こそが最大のリスクとさえ言われるようになってしまった。 全体の景気回復が進む中で、地方経済に好転の兆しはなく地域企業に明るさはない。そうした中で地域の活性化を担う地域金融機関の悩みは深い。伊藤金融相は「地域金融活性化に向けて中小企業政策との連携を重視したい」とも言う。それが大手行との違いを意識した発言なのかはっきりしないが、少なくとも今重要なことは、メガバンクと言われる主要行と地域金融機関に対する金融行政の軸足の違いであろう。 地域の中小企業には、株式を上場して自力で資金調達する道は極めて限られている。地方経済が生き残るには、やはり地銀や信金などの間接金融の力は欠かせない。この際、自己資本比率規制は少なくとも国内基準行については撤廃し、別の分かりやすい基準に変えるくらいの「勇断」が必要ではないのか。 |
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