|
|
| |
| 東証にも課題
|
|
| 西武鉄道グループが長年にわたり大株主の状況について誤った情報を公表していた問題が、証券市場や産業界に大きなショックを与えている。西武鉄道は「東証一部上場」の日本を代表する大手私鉄だが、投資家に対する経営情報公開の姿勢は完全に上場企業失格と言わざるを得ない。この問題で誰が一番悪いのかは、西武鉄道やその親会社であるコクドであることに疑問の余地はない。ただ、西武鉄道やコクドの話は新聞やテレビでも詳しく報道されているので、ここでは極めて問題の多い情報開示を見過ごしてきた東京証券取所の対応について考えてみたい。 今回の問題には、西武鉄道の筆頭株主であるコクドが大きく関与している。コクドは西武鉄道グループの中心的存在で創業者の堤一族の支配下にあるが、株式を上場していないため財務内容を含めその実態は厚いベールに包まれている。二〇〇四年三月末の時点でコクドは西武鉄道株を実際には約65%保有していたにもかかわらず、有価証券報告書には約43%と大幅に少なく記載していた。プリンスホテルなども含めた上位十社の保有割合は約86%に達していたが、有価証券報告書には約64%と記載していた。同社では四十年以上も前から誤った記載を続けていたという。 西武による虚偽の情報開示を単純化すると、市場には三十六株が流通しているはずが、実際には十四株しかなかったことになる。市場に出回る株が少ない場合、ちょっとした買いが入ってもそれに対応する売りが出にくいため、どうしても株価が高くなる傾向がある。高い株価を維持する目的で虚偽の情報を公開しているとすれば、投資家に対する重大な背信行為だ。 それでは、これほど重大かつ悪質な情報開示が、どうして長年見過ごされてきたのか。東証は西武鉄道の発表を受けて、同社株が上場廃止になる可能性があるとして、一般の取引とは区別して売買する「監理ポスト」に移した。同時に西武から誤った情報を開示した事情を詳しく聞き、今回の問題が意図的なものだったのか、組織ぐるみで行われたのかなどを調査している。 西武がコクドの持ち株比率を「操作」できたのは、自社で株券の名義書き換え事務を行っていることが大きな原因だ。東証では一九五八年に株式事務を信託銀行や証券代行会社に外部委託しなければ上場を認めないルールを作っている。ところが西武は四九年に上場しており、このルールは適用されなかった。今回の問題を受けて東証は現在西武を含めてわずかに三社しかない自社で株式事務を行っている企業に外部委託を要請したり、例外なく外部委託を義務づけることも検討しているが遅きに失した感が強い。東証にとって、上場企業は取引所にお金を払ってくれる「お客様」だ。このため、上場企業には遠慮があったとの印象が強い。投資家も証券市場にとっては不可欠な存在だけに、取引所には企業の情報開示が正確に行われるようなチェック体制を改めて検討する必要があるのではないか。 |
|