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| 日銀短観などに表れる「迷い」
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| 財務省の財務総合研究所に席を置く旧知の官僚と雑談したところ、彼は「今、景気の先行きに関して確信を持って語ることができる、というエコノミストがいるなら、その人はうそつきだよ」と断言した。景気は、そのくらいよくわからない局面に差し掛かっているのだ。それは十五日に発表された日銀の企業短期経済観測調査(短観)でも、如実に表れている。 筆者が東京で経済取材を始めたのは一九九一年で、およそ十四年が過ぎた。まさにバブルの後始末にべったり付き合わされた格好で、その間、循環的な弱々しい回復は見たが、背後にある膨大な不良債権の経済下押し圧力は継続していた。その証拠に、不動産や金利が上昇するのを見たことがない。だが、実は、脂の乗った中堅エコノミスト、ディーラーやトレーダー、日々の金融調節を担う中堅日銀マンたちも、本格景気回復を経験としては知らないのだ。見解が迷走気味でコンセンサスができない一因かもしれない。 十二月短観の集計数値自体が、迷走している。まず、大企業・製造業の業況判断は二二と、七・四半期ぶりに悪化(4下落)した。また次回の二月短観時点での予想は、現状からさらに7悪化するとの弱気予測。先行き予測が7悪化というのは、山一証券、北海道拓殖銀行が経営破綻した一九九七年十二月以来であり、ただごとではないようにも見える。 ところが、大企業・製造業の今年度収益計画は、景況感がバブル後最高を記録した九月短観からさらに5・1%もの上方修正。売上高経常利益率はバブル期のピークを超えている。設備投資計画は全規模・全産業では前年度比6・2%増で、大幅上方修正だ。いったい、経営者は弱気なのか、強気なのか。 一つ、忘れられがちな視点は、バブルの後始末の中で企業が過剰債務、過剰設備の整理に追われていたが、不良債権処理の峠超えに顕著なように、今度こそ環境が変わったことではないのか。企業は、そこそこの利益を上げる局面があっても、それを投資に回す勇気を持てず、銀行への債務返済に回していた。設備更新の投資はかなり無理をして抑制されていた可能性がある。その象徴は、新日本製鉄名古屋製鉄所、ブリジストン栃木工場、出光興産北海道精油所、マツダ宇品工場などで、老朽化が疑われる災害が多発している。 民間シンクタンクの分析では、二〇〇二年度の企業の余剰資金は過去一年で四十一兆円まで積み上がった。また、設備投資計画を実行した後も、手元に残る「フリーキャッシュフロー」は二十兆円にも上るらしい。雑駁な例えだが、これまでさぼっていた更新投資は、多少、需要が弱まっても止まらない可能性がある。だだし、情報技術(IT)関連の在庫調整が深刻化したり、円高が進めば、再び企業マインドは縮むだろう。 だが、来年度後半以降の世界経済が強さを取り戻すことだけは共通認識。今年度後半から来年度前半までの外需の端境期に、企業の投資マインドが持ちこたえるか、設備投資が支える景気が失速・腰折れを回避できるか、ここにかかっているように思うのだが。 |
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