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経済評論家 川野一秋
株主にはつらいライブドアの転換社債
ニッポン放送株買収の原資
「ホリエモン」の愛称で知られるインターネット時代を代表する若手経営者、堀江貴文社長が再び注目を集めている。前回は同じネット企業、楽天との間でプロ野球の新球団設立をめぐって争ったが、今度はニッポン放送株の買収が連日テレビや新聞で大きく報道されている。

ライブドアによるニッポン放送株買収については、「やり方が強引過ぎる」「資本市場のルール違反だ」といった批判的な声が政財界から噴出しているが、今回の取引には明確な法律違反はなく、堀江社長の作戦勝ちとの見方もできる。もっとも、現在進行形の買収劇はニッポン放送・フジテレビ、ライブドアのいずれが勝ったのかはまだ決着がついておらず、今後も曲折が予想される。ある程度の長期戦になる可能性が高いだろう。

従って現時点で結末を見通すことは難しい。それよりもむしろ筆者が気になっているのは、堀江社長が実施したニッポン放送株購入のための資金調達方法とそれに対するライブドアの株主の受け止め方である。ライブドアは今回の買収にあたり、二月二十四日付で八百億円の転換社債(CB)を発行し、その全額を米証券大手リーマン・ブラザーズが引き受けた。転換社債とは、債券の元本部分を原資として一定の価格(転換価格)で株式を取得できる仕組みの社債だ。ライブドアCBの場合、転換価格を毎週見直す条件がついており、具体的には当初の転換価格は四百五十円だが、その後は百五十七円を下限に、ライブドア株のその時々の価格の90%の水準が転換になる。つまりリーマンは、いつでも市場価格の一割引きでライブドア株を手に入れることができる。

さらに、CB発行より前にライブドア側はニッポン放送株を大量に取得したが、そのための資金はリーマングループが融資を行った。その見返りに、リーマンは堀江社長個人が所有するライブドア株を借りることができる条件もついている。

そこでリーマンはどうしたかというと、堀江社長から借りた株を市場で売却した。するとライブドアの株は下がる。前述したようにリーマンは市場価格の一割引きでライブドア株を手に入れることができるので、極端な話、株価が下がれば下がるほど利益が増えることになる。ライブドアの株主にとってはかなり厳しいスキームのCBだ。

この間のライブドア株の値動きを追うと、ニッポン放送株を取得した二月八日から二日間は値上がりしたが、その後は六日連続で値下がりを続けた。このため市場関係者からは「ライブドアの既存株主が犠牲になっている」との批判が出ている。ライブドアの連結売上高は三百億円程度。年商の約三倍もの資金調達をしてニッポン放送、ひいてはフジサンケイグループとの「連携」を目指す堀江社長を、果たして株主が支持しているのかどうか。社長の方針に反対なら株を売却すればいいとの考えもあるが、会社の命運をかけた経営戦略の決定手続きには疑問を感じる。



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