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| これは異変なのか?
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| 中央官庁に利害関係のない読者には、役人人事の世界を顕微鏡でのぞくことに何の興味もないだろう。ただ、世の中には、鵜の目鷹の目で各省庁の動向に関心を寄せる人々がいる。総合誌や経済誌の片隅に載る人事情報欄は、意外と関心や反響を呼ぶのだ。 近年、権力、求心力が低下したとはいえ、予算編成権を握る財務省の幹部人事は、とりわけ幅広い関心と影響を広げる。ここに来て、七月初ごろに発令される主流人事に、異変が起きるのではないかといううわさが流れているため、キャリア組は密かに思案投げ首の状態だ。 うわさの中心人物は、牧野俊郎理財局長(一九七三年入省)。主計官としては公共事業畑で名を馳せたが、実は岳父は自民党公共族の中で隠然たる力を持つ牧野隆守代議士だ。実は、七三年に入省組からはトップの事務次官は出ない、というのが十年、二十年前から定説とされてきた。しかし、来る夏の人事で、牧野氏が大臣官房長に抜擢され、主計局長、事務次官へのコースに乗ってくる可能性が出てきたというのだ。事実なら、霞ヶ関の人事ウオッチャーにとっては、結構な衝撃ではないだろうか。 背景はいくつか想定できる。まず、今の細川興一次官(七〇年入省)の信任が極めて厚い。それと、政界、霞ヶ関を含めて「根回し、調整が極めて下手」なのが、現主流の細川氏、それとまさに今の調整担当である津田広喜官房長(七一年入省)。これに対し、牧野氏の政界調整能力は、かなり優れているとされるのだ。 実は、細川氏は今夏、あまり例のない次官二年目への続投が、とりあえずの常識となっている。ただ、調整力不足の現最高幹部の欠点を埋めるために、牧野氏を官房長に据えるためには、細川氏が勇退し、藤井秀人主計局長を次官に、津田官房長を主計局長に昇進させて、官房長の席を空ける必要が出てくる。 今の細川次官は、官邸や与党の評判が芳しくないとの評も、しばしば耳にする。そこで仮に、郵政改革問題が初夏までの通常国会で、何らかの形で着地した場合、小泉純一郎政権は、支持率につながる次の内政課題を俎上に載せなければならない。通説は、財務省が巨大な利権を持つ政策金融機関の見直し問題。財務省を中心とした官僚を「抵抗勢力」に位置付け、それと戦う小泉改革政権、の演出が秋から冬にかけてはじまるだろう。政治と世論を向こうに回した和戦両様の手管が求められる。 もうひとつは、与謝野馨自民党の政調会長が密かに執念を燃やしているとされる、財政構造改革論議への本格着手。こちらは、財務省は歓迎だろうが、歳出カットに族議員との「戦い、調整、妥協」の寝技は欠かせない。この当たり、牧野氏登場のうわさに一定の信憑性を与える情勢予想がある。 牧野氏の官房長抜擢には、実は難題も多いのだが、それは、まったく閉鎖的な官僚人事の独特の論理に由来するもので、この紙幅では説明は無理。だが、これで官僚人事オタクの世界の雰囲気は少しは感じていただけるかもしれない。 | |