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経済評論家 川野一秋
ホリエモン騒動の納得できない結末
割を食った双方の株主
二カ月余りにわたって株式市場のみならず、全国のお茶の間を巻き込んでの大騒ぎに発展したライブドアとニッポン放送・フジテレビの攻防戦は、最終的に両社の歩み寄りで決着することになった。両社の合意内容を見ると、ライブドアはこれまで過半数を買い集めたニッポン放送株の全てをフジに売却する一方、注目された「インターネットとテレビ放送の融合」の具体策は先送りされた。結局、「ホリエモン」こと、堀江貴文ライブドア社長は「買い集めた株の売却益を狙っただけではないのか」と言われても仕方のない結末だ。今回の大騒動は、いったい何だったのか?

両社の騒動について、兜町周辺からは、「ホリエモン効果」を前向きに評価する声がある。以前のこの欄でも紹介したように、株式の攻防戦をテレビや新聞が大々的に報じたことで、資本市場の仕組みや株式の保有と企業経営の関係などを広く一般に周知させたことを証券界は歓迎している。

また、ホリエモン騒動では、企業買収に関係する制度の不備を浮き彫りにしたことも事実だ。ライブドアがニッポン放送株を取得するにあたって、購入価格や取得予定株数を公開して広く一般から買い付けるTOB(株式公開買い付け)を実施せず、ルールの抜け穴をついて東証の時間外取引で大量の株を取得した。

これを機にTOB規制の見直しが行われることになったほか、何より企業経営者に「株価を意識した経営をしっかり行わないと会社を乗っ取られる」との警鐘を鳴らした意義も評価していいだろう。

これらのプラスの面は確かにあるのだが、それでも、二カ月余にわたる買収攻防劇の結末がライブドアやニッポン放送・フジテレビの「株」の話を除くとほとんど内容のないものに終わったのを目の当たりにすると正直言って拍子抜けだ。ライブドアとフジは引き分けだとすると、結局、この騒動で完全に勝ちを収めたのは、ライブドアの資金調達を引き受けて巨額の利益を得た米リーマン・ブラザーズ証券と、保有するニッポン放送株をライブドア側に売却したM&Aコンサルティング(通称村上ファンド、村上世彰代表)ということになる。

一方、双方の株主は割を食った。ニッポン放送買収を始める前のライブドアの株価は四百円程度だったが、和解の少し前には二百九十二円まで下落した。その後は三百円台半ばまで戻しているが、買収資金の調達やフジテレビとの資本提携のため、ライブドアは大量の新株式を発行するだけに、今後同社の業績が急拡大しなければ一株あたりの価値の目減りは避けられない。また、フジテレビは一株五千九百五十円でニッポン放送株のTOBを実施したが、これに応じた株主もたまらないだろう。フジはライブドアからTOB価格を上回る一株六千三百円でニッポン放送株を買うのだから。

企業買収に伴う問題点や制度の不備を顕在化させたことは評価できるが、今回の買収合戦は、株主の視点を欠いたマネーゲームだったと位置付けるのが最も適当ではないだろうか。和解発表会見での堀江社長、日枝会長ら首脳には、提携合意を喜ぶ雰囲気はまるでなく、マネーゲームにくたびれ果てた表情がそれを如実に示していた。



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