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| 重くなる東証の責任
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| 東証が悩みに悩んだ末に、産業再生機構の支援の下で経営再建に取り組んでいるカネボウの株式を六月十三日付で上場廃止にすることを決めた。これについて株式市場関係者の間では、「廃止は当然の判断」との受け止め方が支配的だが、一部には上場を維持すべきだったとの見方も出ている。西武鉄道に続いてカネボウが虚偽の情報開示を理由に上場廃止に踏み切った東証の考えは、証券市場の信頼性確保のためにルール違反には厳罰で臨むとの姿勢を明確に示したものだと言える。同時に、東証は既存の上場企業が適正な開示を行っているかなどをチェックする責任は従来以上に重くなる。 カネボウ株上場廃止の理由について東証は、同社が長年にわたって組織的に粉飾決算を続け、投資家に対して虚偽の情報開示を行ってきた影響が極めて重大だったからだと説明する。実際、同社の発表によると、粉飾額は二千億円を超え、二〇〇四年三月期まで過去九年間にわたって債務超過だったという極めて悪質なものだった。「これで上場廃止にならなければ、どんなことでも許される」(証券会社市場担当者)。 ただ、カネボウの場合は、一般の事業会社とは異なる背景を持つ。そもそも同社の粉飾決算は、再生機構の支援決定に伴い経営体制が一新され、新経営陣が主導して進めた調査の結果、判明した。経営再建を目指す企業が、過去のウミを取り除く努力を進めたことで上場廃止になったことについて「これでは正直者が馬鹿を見る。今後、企業は後ろ向きの情報を開示しなくなる」と、東証の厳罰主義に異論が出ている。また、カネボウは旧経営陣は解任され、再生機構の支援などにより過去の損失を処理しており、「新しい会社」になった。その会社が「過去の罪」で罰せられるのは不合理ではないか、との指摘もある。 カネボウ株上場廃止に批判的な考えと歩調を合わせるように、金融庁は東証に対して上場廃止基準を見直す考えがあるかどうかなどを報告するよう命令した。同庁は「上場廃止の決定は東証が判断すべきこと」との立場を取りつつも、三十年以上も前に作った上場廃止ルールが現状に合わなくなっているとの問題認識を持っていると見て間違いなさそうだ。現時点での東証の見解は、現行の廃止基準は「市場の生命線である情報開示の正確性を守る役割を担っている」(鶴島琢夫社長)というものであり、見直しには慎重だ。 しかし、虚偽の開示が表面化したケースに厳罰を下す対応だけでは、世の中の理解を得られそうもない。お店に商品を並べておいて、「中には壊れた商品があるかもしれないがうちではチェックできません」というのでは、顧客はその店で安心して商品を買うことができない。カネボウの上場廃止という重い決断を下した東証は、不祥事が発覚した後の事後的対応に加えて、恒常的な企業の開示情報のチェックなど市場の信頼確保のためもっと踏み込んだ対策を迫られることになるだろう。 |
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