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| 安易な「サラリーマン増税」でよいのか |
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| 構造改革の推進を掲げ「任期中の消費税増税はやらない」と訴えてきた小泉内閣だが、どうやら「衣の下の鎧」がはっきり見えてきたようだ。政府税制調査会が先ごろまとめた「個人所得課税に関する論点整理」と題するリポートによれば、所得税の各種所得控除の減額、撤廃などによって課税ベースを拡大し、実質的な所得税「増税」の方向をはっきり打ち出している。消費税増税という「大増税時代」はいずれやってくるが、その露払いとして、まず税は取れるところからしっかり取っておくということだろう。 財務省は、報告は「論点整理」であって、増税プログラムではないと主張するが、報告には「所得税の財源調達機能の回復」と記されているほか、政府税調の石弘光会長が「サラリーマンを中心に(増税負担を)お願いしたい」と明言している以上、今後二〜三年以内に増税計画が具体化することはほぼ間違いない。 報告に盛られた増税メニューは様々だが、特徴的なことは、サラリーマンを中心とする給与所得者を増税のターゲットに絞っている点だ。所得から自動的に控除される給与所得控除は過大なので減額する。配偶者控除も雇用形態の変化に合わせて見直す。扶養控除など人的控除の整理縮小、退職金課税の見直し、課税最低限の引き下げ……など。ひとつひとつのメニューは細かいが、すべてを実現すれば、相当額の「増税」になる。 ところが、サラリーマンとの比較で常に問題となる個人事業者の所得課税については、現行の必要経費の控除に一定比率の「概算控除」の導入を検討するとしただけで、「正しい帳簿にリンクした申告を」と呼び掛けているにすぎない。個人事業者の多くは、家計支出を必要経費として堂々と申告し「租税回避」を日常的に行っているとされる。所得を完全に捕捉されるサラリーマンと比べて、これでは不公平感は増すばかりではないか。 報告が指摘するように、現行の所得税の仕組みがこれまでのつぎはぎ減税策などによって、大きな歪みや不公正が生じていることは、その通りだろう。だが、「クロヨン」を持ち出すまでもなく、サラリーマン以外の所得者の捕捉率の向上にもっと目配りする必要がある。納税者番号の導入はもちろん、給与所得者の「特定申告」制度の思い切った拡充など、増税とのセットで解決すべき課題は多い。 関係筋によると、今回の「サラリーマン増税」の方針は、「ポスト小泉」政権が消費税増税でつまずいた場合の「担保」となる増税策だという。今のところ財務省は、〇六年度改正で定率減税の残り半分の廃止を、〇七年度改正でこれらの所得税増税の大部分を実行し、遅くとも〇八年度以降の消費税増税に期待する。仮に消費税増税の時期が遅れても、露払いとしてのサラリーマン増税で当座をしのいでいく。そんなシナリオを描いているようだ。 しかし、今回の税調報告に対して「サラリーマンいじめだ」と反発するする声は少なくない。財政再建に向けて増税は必要だが、そのためには、公務員の定数削減や無駄な事業の廃止など徹底的な歳出見直しは当然として、税負担の公平化にもっと知恵や工夫を凝らさなければ、国民の納得は得られないだろう。 |