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| 怒る顧客にネクタイは不可欠
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| 毎日電車に乗っていると、上着なし・ノーネクタイのいわゆる「クールビズ」姿のサラリーマンが急増している。かく言う筆者も最近その仲間入りをした。霞が関の中央官庁や永田町のほか、兜町でも東京証券取引所、ジャスダック証券取引所もクールビズを導入、スタッフから役員までノーネクタイが完全に主流を占める。しかし、例外的にスーツにネクタイを貫き通しているのが証券会社の役職員である。 証券会社はお客相手の商売だから、あまりラフな服装はできないんだろうと思っていたが、理由はどうやらそれだけではないらしい。ある大手証券マン曰く「お客さんに買ってもらった株が値下がりすると、呼びつけられて、謝りに行くことが少なくない。その時にノーネクタイではやっぱりまずいでしょう。『ふざけるな』と言われそう」。また「証券会社の営業で肝心なことは、損をしているお客さんの愚痴や不満、怒りをいかに受け止めるかにある。これがきちんとできないと、お客さんはついてきてくれない」とも。 日本の個人金融資産約千四百兆円のうち、現預金は七百七十六兆円と全体の約55%を占める一方、株式は百二十一兆円で9%に満たない。米国の場合、現預金は約13%に過ぎないのに対し、株式は34%にも上る。日本では国民の大多数は株式投資とは無縁の生活を送っており、中小企業や新興企業に資金がうまく回らない問題が指摘されている。このため政府は、投資優遇税制の整備など国を挙げて「貯蓄から投資へ」の転換を進めているが、さほど実績は上がっていない。これは、株式という商品が、値下がりしたら証券会社の営業担当者がきちんとした格好をして謝りに行かなければならないことと深く関係しているのではないか。 株価は上がることもあれば、下がることもある。当然のことなのだが、現実には株が下がると大騒ぎする投資家が大勢いる。証券会社の販売方法の問題もあるだろうが、株式に対する国民の意識・理解が深まらなければ、政府の目標達成は難しいだろう。証券マンがネクタイを外すまでには、まだしばらく時間がかかりそうだ。 |
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