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| 大国の思惑よそに共同体を主導
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| マレーシアの首都クアラルンプールで初めて開かれた東アジア首脳会議(サミット)は、人口三十億人に上る東アジア共同体の形成に向けて新たな一歩を踏み出した。しかし、共同体の具体像や実現に向けた道筋は不透明なまま。その枠組みをめぐって中国と日本が主導権争いを演じ、不協和音も響いたが、最終的に東南アジア諸国連合(ASEAN)が共同体の推進役を担うことで決着した。アジアにおける経済統合の核としてASEANの存在感が改めてクローズアップされ、東南アジア外交の重要性が一段と高まったのは間違いない。 ASEANは対立の顕在化を避け、可能な分野で合意や協力を重ねる方式で統合を強化してきた。「アジアン・ウエー」とも称されるようになった、いわばなし崩し的な協調の努力が日中の主導権争いや対立を包み込み、共同体の形成に向けて動き出した格好だ。 ◆痛み分け 十カ国が加盟しているが、その経済規模は日中韓と比べて大きいとは言えないASEAN。それでも、一九九七年から日中韓三カ国と「ASEANプラス3」の首脳会議を毎年開催し、域内議長国に首相らを「招へい」している。また、経済統合に向けてASEAN自由貿易地域(AFTA)を発効させ、域内関税を5%に引き下げた。市場としての魅力の高まりを受けて、中国は今年七月、ASEANと自由貿易協定(FTA)を発効させた。日韓やインド、オーストラリアも交渉を進めており、ASEANはアジアにおける貿易自由化の中心になりつつある。 こうした中で開かれた東アジアサミットは、既存の「ASEANプラス3」にインドとオーストラリア、ニュージーランドを加えた十六カ国で発足したのだが、中国と日本・インドが将来的な共同体の枠組みや未来像をめぐってつばぜり合いを演じた。 中国は当初、サミットにインドなどを加えることに反対。インド参加が決まるとサミットを自由な意見交換を目的としたフォーラムに棚上げし、主導権を発揮しやすい「ASEANプラス3」を共同体の基盤と位置付るよう画策した。これに対して日本とインドは共同戦線を張ってサミットを共同体形成の枠組みと位置付るよう要求、中国によるASEANの囲い込みをけん制した。 最終的に共同体の構築に向けてサミットが「重要な役割」を果たし得ると宣言。その一方で、「ASEANプラス3」は共同体創設の「主要な手段」と位置づけられた。「中国」と「日インド」が痛み分けをした形だった。 ◆壮大な夢 中国の温家宝首相は「中国は(共同体論議で)リーダーシップを求めない。ASEANが主要な推進力だ」と指摘。大国の余裕をみせ、ASEANは共同体創設に向けた「運転手」の座を維持した。 日本はサミットで、鳥インフルエンザ対策やASEAN統合費として一億ドル以上の資金拠出を表明。「援助外交」を通じて影響力の拡大を図ったのだが、温家宝首相は小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題を取り上げて、「日本の指導者がアジア人民の感情を傷つけた」などと指摘。「日本包囲網」の構築を図った。すると議長国マレーシアのアブドラ首相が日本とASEANの会合で「日中関係に対立が生じていることを心配している。両国首脳がうまく取り扱い、解決できると確信している」と懸念を示した。中国のASEAN対策が効果を発揮した一幕だった。 東アジアサミット参加国の総人口は世界の約半分を占める。そんな中でロシアのプーチン大統領はサミットに特別ゲストとして参加し、正式メンバー入りを求めた。現在でも肥大化しているサミットで共同体の検討が具体的に進むとは考えにくく、クアラルンプールでの議論を踏まえて外務省首脳は「東アジアでの共同体を将来の夢として掲げておくのは重要だ」と漏らした。 壮大な構想として世界に示された東アジア共同体は、今のところ「夢」でしかないのかもしれない。しかし、ASEANはサミットでの議論を通じて共同体形成に向けた運転席に座り直した。日本と中国、さらにはインドやロシアも巻き込んだサミットで、「小国連合」が主導的な役割をしたたかに演じていくのだけは確かだ。 |
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