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| 大現預金からモノへ
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| 十二月二十七日に総務省が発表した消費者物価指数(CPI)で、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)が、ついに前年同月比0・1%のプラスに転じた。形式的には、二〇〇三年十月以来ということになっている。しかし、統計の特殊要因を除いて見た本当の意味合いは、一九九七年の山一証券や北海道拓殖銀行の経営破綻、九八年の日本長期信用銀行や日本債券信用銀行の経営破綻を引き金に始まった悪性のデフレが、やっと反転し始めたことだ。さて、日銀はいつまで短期金利を現行のゼロ水準に据え置くのだろうか。 日銀は現在、日々の必要量を越える通貨を銀行に供給し続ける「量的緩和策」で、一年未満の市場金利はほぼゼロとなっている。普通預金の金利が年0・001%などという事態は、このせいだ。だが、九八年以降、大銀行や大企業が次々に倒産し、皆がリスクを恐れてお金の流れが滞留してデフレと経済不振を招いていたわけだから、日銀の思い切った政策発動が大きな下支えとなって、やっとデフレ脱出にこぎ着けたのは事実だ。 しかし、CPIのプラスが続くと、市場に大きな変動が起きる可能性が高まる。というのも、実質金利がマイナスに転じるからだ。例を示せば、普通預金に預けても1年後に0・001%の利子しか受け取れないが、そのお金で資産として「モノ」を買っておけば、0・1%程度価格が上昇することになる。言い換えれば、百万円の「モノ」資産を今買っておけば百万千円になるが、一年預金しておくと利子と併せて百万十円しか手元になく、九百九十円不足で買えなくなる。預金しておくと、どんどん損が膨らむからマイナス金利というわけだ。 では、日銀はこれを直ちに是正できるだろうか。最新の月次CPI上昇は前年同月比0・1%だが、これから上昇ピッチを上げていく。現在の日銀が発するメッセージからすると、まず、「量的緩和」という通貨供給政策をソフトに解除し、その後にソフトに短期金利を上げていく。これには時間がかかる。ともかく、これまでの金余りに慣れた世の中にショックを与えるような政策変更は避けねばならない。そうすると、短期金利よりCPI上昇が上回るマイナス金利は、ある期間は続くだろう。短期金利はいつの日か、慎重にCPIに追い付き、追い越さねばならないのが今の状況だ。 ところが、自民党の中川秀直政調会長に代表されるように、短期金利の引き上げはおろか、量的緩和策も続けるべきという意見が、政界や政府の要人から相次いで表明されている。デフレの傷は深いだけに、もっと養生を続けて様子を見るべきというのが、表向きの理由。 しかし、政府・与党、そして財務省の本音はインフレの招来だろう。日本の企業部門は現預金を二百兆円も抱えているのだが、マイナス金利が明確になってくれば、このお金で他の資産を買っておこうとするだろう。個人でも同様だ。資産価格や物価にはますます上昇圧力がかかる。インフレになれば、通貨の価値が下がるので、借金を抱えた債務者に有利だ。もちろん、最も得をするのは八百兆円に迫る長期債務を抱えた国・地方自治体だ。日銀はどう出るか、政府・与党はどう動くか、株や不動産に波乱の兆しが現れるか、二〇〇六年の一―三月は経済の大きな曲がり角である。 |
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