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| 小泉内閣の最終年となる二〇〇六年がスタートした。年初来の株高に象徴されるように、日本経済はデフレ脱却を視野に入れつつ、堅調さを取り戻しつつある。しかし、この「緩やかな景気回復」はいったいどこまで持続的なのかは、依然はっきりとしない。 政府の二〇〇六年度経済見通しによれば、実質成長率1・9%、名目成長率2・0%とようやく成長率の「名実逆転」が解消し、懸案のデフレ脱却が実現する。長かった低迷期を脱して「正常な経済」の姿に何とか復帰できるという見立てだが、そうしたシナリオが実現するには、いくつかのハードルを越えなければならない。 その最大の懸案は、やはり消費税増税の動向だろう。小泉首相は「在任中の消費税増税はしない」と明言してきたが、そのことがかえって、ポスト小泉政権の逃れがたい重荷となってしまった。政府は今年六月、歳出・歳入一体改革のビジョンを示す予定だが、そのときを境に具体的な消費税増税論議が沸騰するのは間違いない。 問題は、そうした動きがマクロ経済的にみて、復調しつつある個人消費にどんな影響を及ぼすかである。確かに、足元の消費は、百貨店売上高の前年比増といった明るい兆しも出てきた。失業率の低下、雇用者所得の漸増といった環境改善もある。しかし、いったん消費税増税が具体的政策として登場すれば、家計の財布のヒモはきつくなる。既に定率減税の廃止(〇六〜〇七年)が決まり、家計負担の増加がスタートしている中で、それらを上回る増税は実施以前の段階から影響するに違いない。それは、当然ながら回復途上の景気全体を冷やす方向につながってくる。 消費税「増税」の実施時期をめぐって、「ポスト小泉」と称される閣僚たちの間で〇七年以降のいつが適当かで論争になったのも、まさにそのためだ。政治の側には選挙に不利な消費税増税をできるだけ先延ばししたい思惑がある。ここへきて表面化しつつある中央省庁の「行革第二ラウンド」の議論も、増税実施に向けたアリバイづくりとみてよい。 とはいえ、財政の危機的状況を考えれば、大半の国民は「将来の消費税増税」は避けられないと考えている。その実施時期は、目先の政治状況に関係なく、どんなに遅くても〇九年からというのが実感だろう。とすれば、家計消費のマイナスへの負荷はあと最低二〜三年は続くとみておく必要がある。その間、団塊世代の大量リタイア(〇七年)もあって、消費動向に力強い期待は持てそうにない。 こうした消費税増税とマクロ経済の「矛盾」を解く鍵は何か。仮に消費税を増税しても、それが直接に家計の将来不安につながらないような選択肢が求められる。言い換えれば、増税分を含めて年金財政に補填する目的税化である。増税と将来不安の悪しき連鎖を断ち切るにはこの方法しかないと思われる。また、九七年四月の消費税増税(3%から5%へ)時の経験を生かすなら、増税幅は5%未満とする必要がある。なぜなら、当時の実際の消費現場では0%から5%へ引き上げられたケースが圧倒的だったからだ。 消費税増税をめぐる「政策リスク」こそが、今年の最大の焦点になる。 |