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経済評論家 舟泊良章
戦略なきODA改革論議
新会議も形骸化は不可避
政府開発援助(ODA)改革の一環として内閣官房にODAを統括する戦略会議が新設される見通しになっている。首相直轄で援助外交の戦略を立案するとの触れ込みだ。ただ、現在も内閣官房には十三省庁で構成する対外経済協力関係閣僚会議があり、ODA大綱や中期計画などを議論している。年に数回開かれる程度で形骸化しているため、新会議は担当省庁を絞り込んで機動的に開催するというが、「形骸的な会議が増えるだけ」(政府筋)ではないだろうか。

◆縦割りの弊害
ODAの改革論議は元々、国際協力銀行(JBIC)の改廃が主眼だった。昨年末に結論が出された政府系金融機関の改革・統廃合の一環としてJBICの存廃が議論されたのだが、貿易金融や資源開発資金の融通といった国際金融業務のほかに、対外援助の主力である円借款の実施を担っているため結論を先送りした経緯がある。

これを受けて 安倍晋三官房長官の下に有識者会議「海外経済協力に関する検討会」(座長・原田明夫前検事総長)を設け、JBICのあり方に加えてODAの戦略や企画立案、執行体制を含めて総合的に議論することになった。

ODAは、JBICが実施機関となっている円借款に加え、(1)国際協力機構(JICA)や各省庁が行っている技術協力(2)外務省が所管する無償資金協力―に大別される。外務省が中心になって総合調整しているが、縦割りによる弊害が指摘され、事業の重複も一部で起きている。こうした反省を踏まえて有識者会議は、「政府中枢が総合的に政策決定する必要がある」との認識で一致。内閣官房に新会議を立ち上げる流れが決まった。

◆安倍長官の「面子」
麻生太郎外相は日本記者クラブで会見し、ODA戦略会議に関して「基本的には安全保障会議と同じ形が良い」と指摘し、首相が議長を務めて援助政策を統括するのが望ましいとの考えを示した。さらに、事務局を内閣官房に置く一方、企画・立案の責任は外務省が担うべきだと強調してみせた。外務省が主導権を維持する形だが、この案には自民党も理解を示している。

ODAの改革論議をめぐっては、「有識者会議を設置した安倍官房長官の顔を潰すわけにはいかない」との声が早くから漏れていた。改革の中身よりも、次期首相の呼び声が高い安倍長官の面子を守るための「見栄え」を取り繕うのに汲々としている印象だ。その結論がODA戦略会議の新設だった面は否めない。

新設する戦略会議は外務、財務、経済産業の三省を中核メンバーとして機動的に開催するとしているが、運営は外務省が担う方向で、「縦割りに伴う無駄の排除ができるかどうかは疑問」(関係者)。新会議を立ち上げるよりも、既存の対外経済協力関係閣僚会議を活性化するほうが早道だとの意見もあるほどだ。国益に直結したODA戦略や企画立案、効率的な実施体制を構築する道筋は見えていない。



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