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| ASEAN(東南アジア諸国連合)などアジア各国の域内通貨を加重平均して一つの通貨単位として表示するACU(アジア通貨単位)創設構想が進展している。アジア開発銀行(ADB、黒田東彦総裁)は、今春をめどにACUの具体的なスキームや数値を公表し、アジア各国の為替政策の参考指標として活用するよう呼び掛ける方針だ。 ACUは、EU(欧州連合)発足の過程で、ECU(欧州通貨単位)が共通通貨ユーロ誕生へと発展した歴史に倣って、アジア地域でも「欧州型の経済統合」を目指すため、金融、通貨の面での協調体制を築く狙いがある。黒田総裁は二月八日の講演でも「市場関係者がACUを積極的に活用してくれるようにしたい」と述べている。 アジアでは一九九七年の金融危機の際、当時多くの国が採用していたドル・ペッグ制の通貨制度が裏目に出て、アジア各国は大混乱に陥った。その教訓を生かして、その後は二国間の通貨スワップ協定のネットワーク化や各国経済の相互監視システムの構築など、通貨、金融面での相互協力が進んでいる。また、この間の貿易、投資など経済面での地域統合への動きを考えると、ACU創設は大いに歓迎すべき試みとして評価されよう。 ただ、大きな問題はACUそれ自体の中身をどうするか。ADB関係者によれば、ACUの構成通貨は、ASEAN十カ国プラス日本(円)、中国(人民元)、韓国(ウォン)の十三通貨とする方向だが、これらを加重平均する際、各国のGDPや貿易量、国際収支などを考慮すると、円と人民元のウエートがあまりに高くなり過ぎて、アジア通貨の指標としての意味が薄れるとの指摘がある。また、資本取引を自由化していない人民元を現段階で加えるのはおかしい、といった議論もある。 また、ACUの対外価値を示す通貨はドルが基準となるが、アジア地域の貿易の実態から見てユーロや円も加えるべきだとして、ドル、ユーロ、円の域外通貨の通貨バスケットとの連動制をという考え方も根強い。域内通貨と域外通貨を具体的にどのような形で組み合わせていくのか。この点はもっと慎重に議論を重ねていく必要がある。 ACUはあくまで実際には存在しない架空の通貨単位。これがそのまま「アジア共通通貨」の誕生につながるわけではもちろんない。その点はADBも十分認識しており、「ACUをまずアジアの金融資本市場で認知してもらうことが先決」としている。ACUの為替水準を域内の為替安定協力の参考指標にしたり、各国や国際機関がACU建て債券を発行するといった地道な努力が求められる。 その意味で、新たに算出されるACU指標は、域内各国が十分に納得できる、使い勝手の良い指標でなければ、単なるお飾りに終わってしまう。財務省のある担当官は「通貨面での協調は大事だが、地域の経済統合という実態論を抜きにした議論では上滑りになる」と牽制する。アジアの経済統合に関心を寄せる米国の反応も含めて、ACU構想の行方は大いに気掛かりだ。 |
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