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経済評論家 舟泊良章
ODAをJICAに一元化
「焼け太り」で混乱懸念も
政府・与党は、国際協力銀行(JBIC)を解体するとともに、国際協力機構(JICA)を政府開発援助(ODA)の一元的な実施機関に衣替えすることを柱とした改革案をまとめた。外務省は「効率的な援助が実現できる」(幹部)と自讃するが、JICAを所管している同省の権限が肥大化するのは確実。その外務省が行ってきた対外援助の総合調整には疑問が持たれている。ODAの実施現場に混乱が起きないことを願いたい。

 ◆不幸な結婚
ODAは(1)開発途上国政府に対する長期・低利融資である円借款(2)人材育成を中心とした技術協力(3)途上国政府への財政支援や無償プロジェクト実施など無償資金協力―の三分野に大別される。円借款は外務、財務、経済産業三省の協議を経てJBICが実施する体制。無償資金協力は外務省の所管。技術協力はJICAのほか、一三省庁が行っている。これらを外務省が総合調整しているが、事業重複などに対する批判がかねてからあった。

今回の改革論議で焦点となったJBICは、円借款を実施していた海外経済協力基金(OECF)と日本輸出入銀行(輸銀)が一九九九年に統合して誕生したが、援助である円借款と商業金融の一種である輸銀融資は「目的や性格が異なる」(自民党整調幹部)との指摘が発足前からあった。「元々、不幸な結婚だった」(NGO関係者)とされるゆえんだ。

 ◆見かけ倒れ
JBIC発足の経緯もあって、円借款を国際金融業務から切り離してJICAに統合するのが効率的だとの認識が広がっていた二月八日、外務省は自民党の会合で同省が所管している無償資金協力の実施部門をJICAに移し、援助実施機関を一元化する方針を打ち出した。

外務省は「自ら血を流す決意」を示したのだが、従来から無償資金協力の実施はJICAに一部行わせていた。「見かけ倒れ」な面は否めないが、JICAを一元的な援助機関にする流れが作られた。

そのJICAは人材育成など地道な技術協力を得意としてきた。一種の大規模融資である円借款とは馴染みが薄く、現場に混乱が起きないとも限らない上、JICAを所管する外務省の肥大化が進む可能性が高い。国益につながるODAの戦略的活用や効率化といった改革効果が目に見えて表れない場合、外務省は「焼け太り」批判に晒されるだけでは済まされない。

その一方で、財務省や経済産業省はJICAを共管にしようと画策。新たな縄張り争いによる混乱がODA改革に水を差さないとも限らない。

 ◆政治主導にも疑問
援助実施機関の一元化に加え、内閣官房にODA戦略会議を新設することも決まっている。政治主導で対外援助を進めるとの触れ込みだが、一三省庁が参加する対外経済協力関係閣僚会議が現在も内閣官房に置かれている。既存の閣僚会議は年一、二回開催してODA大綱などを決める程度。形骸化してるため、新会議は首相を議長として官房長官のほか、外務、財務、経済産業の三閣僚に中核メンバーを絞り込み、機動的に議論するという。しかし、「会議を作っただけで政治主導の援助が実現するわけではない」(政府筋)との声が早くも聞こえる。



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