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| 「福井日銀」がようやく量的金融緩和政策の「解除」に踏み切った。二〇〇一年三月以来、五年ぶりの金利政策への復帰となるが、当面は「ゼロ金利」を維持しつつ、過大な流動性供給の削減も数カ月かけて実施するというから、表面的には目立った変化はない。まさに「連続したプロセスの一つの通過点」(福井俊彦総裁)にすぎない。 金融市場では、当初の「四月解除」説が「三月解除」に前倒しされたサプライズもあったが、消費者物価解等の解除条件を満たせば直ちに実施するのは中央銀行として当然であり、現在の物価をめぐる構造変化から言えば、むしろ遅きに失した感もある。金利政策という国民にとって最も「分かりやすい政策」に、それほど大きな混乱もなく戻ることができたことを、まず評価すべきだろう。 今後の金融政策の焦点は、福井総裁自ら言及したように、景気と物価の状況を見極めながら、ゼロ金利から極めて低い金利へ、さらに「中立的な金利水準」へ移行していくプロセスをどう舵取りしていくか。この点は、物価の前年比プラス基調が定着しつつあるとはいえ、世界経済とリンクした景気動向をどう見ていくか、国内の資産価格の上昇などミニバブル的な状況をどう判断するか、など難しい問題は多い。だから、現時点で「全くオープン」という日銀の判断はやむを得ないのだろう。 ただ、今回の決定に当たって、日銀が提示した中長期的な「物価安定の理解」(0〜2%、中央値1%)は、極めて分かりにくい。日銀としては、物価安定の「目安」を一種の理念型の指標として示したつもりだろうが、インフレターゲット(物価目標)でもなく、欧州型のレファランス(参照値)でもない、しかも政策運営はそれに縛られないというのでは、何のための数値公表なのか理解に苦しむ。「解除」をめぐって政府サイドからの牽制や反対の動きを抑えるために公表したとすれば、極めて政治的な対応というべきだろう。 早くも政府内の一部では、物価上昇率が2%に達するまでは「ゼロ金利解除(利上げ)はさせない」と息巻く向きもある。数値を公表すれば、どんな定義付けをしても、数字の独り歩きは避けられない。財政再建や政治的な思惑からリフレ経済志向を強めている政府サイドとの「対立」はいったん収まったかに見えるが、この数字が再び火種になる可能性もある。 「解除」後のもう一つの焦点は、過大な流動性削減と金利調節、そして金融市場との「対話」だ。日銀は今後、法定水準をはるかに上回る三十兆〜三十五兆円の当座預金残高を徐々に削減していくが、その過程で日々の金融オペレーションが有効に機能し、銀行同士が資金をやり取りする正常な短期金融市場を育成できるかという問題がある。日銀は当面、「量」を減らしながら、ゼロ金利(短期金利の翌日物金利)を演出していくことになるが、資金市場の構造変化(都銀は今や預金超過)もあって、金融調節は困難さを増している。 このため、市場がつくりだす市場金利が日銀の想定する範囲にしっかり収まるよう「市場との対話」がより重要度を増してくる。中長期の金利についても、特定の日銀審議委員の発言を材料に国債金利が跳ね上がるといったケースも散見され、中央銀行が市場に対して、予断や誤解を与えるような運営は好ましいことではない。 現状は、過去何年間でようやく正常化してきた実態経済に、金融政策の「正常化」が何周遅れかでやっと追いついたところだが、今後問われるのは、中央銀行としての日銀の曇りのない正確な状況判断と機動的な政策運営だろう。加えて、過去の量的緩和政策の分析と客観的な評価も忘れないでほしい。 |
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