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経済評論家 小倉 豊
ドコモ、そろり金融事業に参入
小額決済、うそをつけ!

おサイフケータイ、 というものが普及し始めた。 JRグループのスイカや、 EDYといった電子マネーがプラスティクカードを利用したものであるのに対し、 携帯電話の電子マネーは内蔵のIC (集積回路) に電子マネーを格納するところから出発した。 携帯電話の機能拡充の一環と言ってもよい。 ただ、 四月からガリバーのNTTドコモが始めるサービスは様相を異にする。 DCMXと命名されたそのプロジェクトは、 明らかに、 クレジット、 キャッシングという金融分野への単独参入に他ならないのだ。

電子マネーというものを少しおさらいしてみる。 これはプリペードカードが使い捨てなのに対し、 カードに磁気テープやICを組み込んで、 お金を再充填できるものをイメージすればよい。 米国などでは日本と違って現金主義ではなく、 スーパーのレジでも小切手を切る習慣がある。 これでは煩雑だというので、 カードによる電子マネーが考案され、 小額決済を中心に普及しているわけだ。

この動きは欧州や日本にも広がった。 JRのスイカなど、 確かに便利なことはかなり知られるようになっているだろう。 現に、 硬貨の流通残高が三月に前年同期比で初めて減少しており、 スイカ、 EDYのなどが、 コンビニエンスストアや持ち帰りコーヒーなどの小額決済では、 街角でかなり利用されていることを裏付ける現象も起きている。

携帯各社は、 まずはこの電子マネーのICチップを取り込み、 そこそこの成果を上げた。 カードではなく、 携帯を端末にかざせば支払いは完了。 若者の小額決済の道具として、 ファッション性も受けただろう。

ところが、 ドコモはDCMXプロジェクトで、 このICにクレジットという金貸しの機能まで盛り込んだのだ。 電子マネーではなく、 クレジットカード機能だ。 これは、 利用店からの手数料も入れば、 キャッシングの金利も入る。 五月末からの本格スタートでは、 利用者の信用力さえあれば、 いわゆるゴールド、 ブラックといった高額決済可能なサービスも手掛ける。 併せて、 プラスチックカードも発行するのだという。

ガリバーであるドコモの魂胆は透けて見える。 携帯で買い物や飲食を決済する階層のイメージは、 とりあえず金持ちとも言えない若者のファッションだろう。 そこで 「小額決済を狙う」 と強調する。 しかし、 信用力さえあれば、 高額決済も引き受ける。 高額所得層が果たして、 おサイフケータイのクレジット、 ドコモブランドを使うか。 携帯を取り出せば、 高級ブランド店やレストランの決済もできるというのだが。 うまくいけば、 ドコモは金融の金利・手数料という、 新たな収益源を得るだろう。 事の成否はやってみないとわからないが、 そこに野望がないはずはない。



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