|
|
| |
| 外務省が自民の動きを読み違え
|
|
| 二〇〇五年度分の中国向け円借款は、年度内の供与決定が見送られた。対外援助の窓口である外務省は見送りに関して、日中関係の悪化を受けた自民党内「強硬派」に対する配慮を挙げた。「年度末だからという理由だけで何百億円という円借款を決める状況ではない」(幹部)というわけだ。しかし、年度内決定に対する強い異論が同党内にあったとは言い難い。外務省の「読み違え」が中国の反発を招いた格好だ。 ◆外交カード? 対中円借款はインフラ整備などを通じて経済成長を下支えし、ピーク時の二〇〇〇年度は二千百四十四億円に達した。これまでに累計約二兆円以上貸し出しているが、小泉純一郎首相の靖国神社参拝をきっかけに両国関係が急速に悪化。東シナ海のガス田開発協議で中国が尖閣諸島付近での共同開発を提案したのを受けて自民党内の「強硬派」が反発していた。 こうした情勢を踏まえて外務省が内々に決定先送りを決めると、首相官邸内では中国とのガス田開発協議をにらんで「(円借款が)カードになる」(関係者)との声が聞かれた。 しかし、現在の対中円借款が外交カードになるかどうか。 中国の急激な経済発展を踏まえて両国政府は昨年、北京オリンピックが開かれる〇八年夏までに新規供与を終了することで合意している。近年は円借款の対象を環境対策などに絞っており、〇四年度は八百五十九億円でピーク時の約三分の一。外務省内では「中国に対する外交カードになるとは思わない」(関係者)との声が支配的だ。ガス田協議への影響も未知数で経済産業省は「中国の出方は分からない」(幹部)としている。 ◆一方的な決定 麻生太郎外相と中川秀直自民党政調会長は三月半ば、四月以降に改めて対中円借款の調整をすることを確認したのだが、自民党の外交部会などは「我々に相談なしで見送りを決めるのはけしからん」と猛反発。塩崎恭久外務副大臣が外交部会などの合同会議に急きょ出席して供与決定の見送りを説明、了承を得た。その一方で自民党の外交部会関係者は「きちんと相談を受ければ、無理をしても年度内に供与を了承できたはずだ」と指摘する。 外務省は決定先送りを中国側に事前に通知しており、麻生外相は「反発は出ないでしょう」と強気を装った。しかし、年度内の決定を見送ったのは事実上初めてだっただけに、中国外務省の秦剛副報道局長は「日本側の一方的な決定は日中関係改善の雰囲気につながらない」と反発。両国関係に新たなトゲが加わった格好だ。 「中国向け円借款の枠組みは崩さない」(外務省幹部)―。〇八年夏の円借款終了に向けて外務省はあくまで「円満解決」を目指しているだけに、自民党内の情勢を読み誤ったことは失態のそしりを免れない。 |
|