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| 阪急、阪神統合という場当り案
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| 村上世彰氏が率いるファンドによる阪神電気鉄道の株式買い占め問題が、着地点に向けて大詰めを迎える。村上氏が当初、株主利益の極大化を求める一案として、阪神タイガースの上場を口にしたこともあって、全国でも注目の的になった。六月末には阪神の株主総会が予定され、村上氏は役員を送り込む株主提案に踏み切るとの見方が有力。これを阻止するためには、議案提出期限の五月二日ごろまでに阪神、村上氏の間で何らかの折り合いをつけねばならない。阪神の命運は、村上氏保有株の買い取りに名乗りを上げた、ライバルの阪急ホールディングス(HD)がどれだけ金を出してくれるかにかかっている。 村上氏が約46%もの阪神株を、時間外取引も絡めて密かに取得した真意は、はっきりしない。経営が怠慢だから企業の潜在力を生かしきれておらず、その改革を迫って株価上昇の利益を得る、というのが表向きの理由。ただ、それは少なからずきれいごとで、株を買い占めて、それを高値で引き取らせる「グリーンメーラー」的行動なのだろう。米国では脅迫状のことをブラックメールというが、ドル札の緑色にひっかけて、市場の俗語で、高値の買い取りを目的とした買い占め屋のことをこう呼ぶ。 村上氏の阪神株取得価格は、平均で六百円強、総額千二百億円以上。このニュースで阪神株はその後値上がりし、九百円強になっているが、村上氏は理論上の阪神の企業価値を示して一千円をかなり超える額でなければ、買い取りに応じない構えだ。買い取りに名乗りを上げているのは阪急HDだけでなく、またもや複数の外資系ファンドも村上氏に接触している。阪急HDが価格交渉で翻弄(ほんろう)されるのは間違いない。 その阪急HDだが、村上氏保有株の買い取りによる阪神との経営統合(持ち株会社案が有力)の狙いが、いまひとつすっきりしない。阪急、阪神の鉄道路線は一部競合関係にあるのだが、それを一本化するのは不可能。いまのところ、両者が大阪の中心繁華街である梅田地区に持つ不動産や商業施設を一体開発し、集客力強化につなげるメリットが指摘される程度だ。 むしろ、阪急HDも、有効活用が遅れている阪神の不動産に目を付け、過大とされる阪急HDの有利子負債を、その含み益によって損益計算書の上でバランスさせ、財務を安定させるのが狙いという見方の方が説得力を持つ。それが実情ならば、阪神にとっての統合メリットは小さく「幹部はライバルによる救済に渋い顔」というのもうなずける。 阪急の狙いが阪神の含み益なら、ある意味で、村上ファンドなどの売却益狙いと五十歩百歩と言えなくもない。梅田の再開発話にしても青写真すらないとなれば、阪神株買い取り競争は、カジノ資本主義の典型の様相を示す。「買収されるなら外資よりライバルのほうがまし」という、阪神側の捨てゼリフに、この騒動の空虚さが透けて見える。 |
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