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経済評論家 小倉 豊
ゼロ金利解除の障害は円高か
先進国間の金利差は綱渡り
四月二十一日に採択された先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、一時はバレル七十五jまで高騰した原油高の状況に、金融政策はどう対応すればいいのか、綱渡り的な現実を見せつけた。各国の事情は様々で、就任したばかりのバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、近い時期の利上げ打ち止めを表明しているが、欧州中央銀行(ECB)は原油や商品価格の上昇を警戒して利上げに舵を切ったばかり。日銀はデフレの出口が見えて量的緩和を解除し、次はゼロ金利解除のタイミングを計る。全体は、高い米国金利に日欧の金利が接近する流れであり、これが強まれば、有利だった米国への投資資金の流入が細って膨大な経常赤字は埋め切れなくなってしまう。また、ドル投資が減ればドル安で、円やユーロは上昇。輸出依存度が高い日本の企業収益は圧縮され、景気の下押し要因になってくる。

今回のG7共同宣言では、「石油価格が高いにもかかわらず、インフレは抑制されている」と、インフレ懸念を否定した。前回G7の宣言では「原油価格により悪化しているインフレ圧力上昇の可能性」を指摘していたのに、一体何が変わったのか。それは、米国ではそろそろ利上げを打ち止めにしないと都合が悪くなってきたので、インフレ懸念を宣言から遠ざけ、各国にも利上げを思いとどまるよう求めたということだ。

米国の一―三月の国内総生産(GDP)は前期比で年率換算4・8%成長という好調ぶりだ。その要因は住宅価格の値上がりにある、と言えば日本に住む者には奇異な感じがする。だが米国では、歴史的低金利の下で住宅取得熱が高まり、手持ちの住宅の値上がりを見て転売して設けたり、値上がり益を担保に借金して消費が活発化している。どうやら、バーナンキFRB議長は、金利をさらに上げ続けると、米国の好景気の背後にあった住宅バブルが一気に破裂するとの危険性を意識しているようだ。

しかし、ECBはインフレ警戒で二度の利上げに乗り出した。日銀は、小泉純一郎首相が、任期中のデフレ脱却宣言で花道を飾るタイミングもにらんで、ゼロ金利政策を解除しようとしている。だが、日本経済は微調整的な金利上昇には耐えられそうだが、急な円高への耐久力はない。EUですらユーロ高は困るらしく、フランスのブルトン経済産業相は「円と中国の人民元は均衡水準にない」と繰り返して、通貨上昇圧力を円に押し付けようとしている。日本にとって不利なのは、今回のG7声明で「経常黒字を有する新興市場国、特に中国の為替レートの一層の柔軟化が望ましい」と、人民元の切り上げを求めたこと。人民元の切り上げ観測は、アジアの経常黒字国という点で同一視されるのか、不思議と円高を誘う。

福井俊彦日銀総裁は、経済の体温に見合った金利を形成する、という中央銀行の使命に沿って、ゼロ金利政策とできるだけ早く決別する姿勢を崩さない。だが、中小企業は円高に弱い。従って、政界も円高に弱く、それは財務省や内閣府に直ちに伝染する。加えて今回のG7では、先進国の利上げをけん制する表現が、どうやら米国の意向で盛り込まれた。超然として見える福井総裁には、実は相当の圧力がかかっているのだろう。




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