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経済評論家 小倉 豊
「いざなぎ」超えは青息吐息
長いが大型ではない景気拡大
二〇〇二年一月に「谷」をつけてから拡大に入った今回の景気は、今年四月で五十一カ月と「バブル景気」の長さに並んだ。あと約半年、今年十一月まで景気拡大が続けば、戦後最長の「いざなぎ景気」を更新する。与謝野馨・経済財政担当相はテレビ番組で「いざなぎは軽く超える」と宣言している。だが、この長期景気拡大には、なぜか「実感」が伴わない。その要因はさまざまあろうが、とりあえず目に付くのは、あまりに輸出に依存した点と、過去の好景気に比べてデフレ下での超低空飛行の成長率である。

バブル景気と今回の五十一カ月を比較すると、顕著なのは内需の弱さだ。バブル景気の間には個人消費が20.1%伸びたが、今回(統計が出ていないので昨年十二月までの四十七カ月)は6.7%にとどまっている。同じく設備投資もバブル期が65.0%もの伸びだったのに対し、今回は21.9%。

逆に、輸出はバブル期の27.7%に対し、55.7%に達し、いかに外需に依存した景気拡大であるか一目瞭然だ。しかも、デフレが続く中では勢いを持ち得ず、国内総生産(GDP)の実質伸び率は、バブル期が20.1%だったが、今回は9.8%と一ケタどまりだった。

今回の景気回復が小泉純一郎首相の任期とほぼ重なるため、一部では「改革景気」と名付けようという声もある。しかし、こう見ると、自虐的だが外需景気とでも呼べそうな気がしてくる。輸出のサイクルは二〇〇二年末、〇四年春など三つの山があるが、特に、〇四年春からいったん輸出が落ち込み始めた時には、政府も日銀も「景気は踊り場にある」、失速はしない、とくどいほど繰り返していたものだ。

しかも、高度成長期に「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」と言われたが、今回は対米輸出のほかに強い味方があった。いわずと知れた、中国などアジア圏である。何せ、十四億人もの人口を抱えた隣国が年率9%以上という成長を続けている。在庫循環などで輸出が勢いを失っても、あくまでペースが落ちるだけで前年割れという事態はなかった。低空飛行だが失速はまぬがれた、これが一番わかりやすい背景だろう。

そしてどうやら、輸出の循環は、半導体生産の循環、ひいてはハイテク製品の循環と一致する。〇五年八月に始まったハイテク循環の上昇は、平均的には一年程度で終わる。極端に単純化すれば、小泉首相が退任する今年九月には、まだ輸出、半導体、ハイテクの不振は表面化せず、花道に明るさが残っている公算が高いか。しかし、いざなぎ景気を超える十一月になると、早ければ停滞色が強まっているだろう。腰折れまでいかなくとも、政府・日銀の「景気は踊り場」という大合唱をまた聞きながら、戦後最長の記録更新を見ることになるかもしれない。




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