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経済評論家 小倉 豊
労働契約法制定へ作業本格化
合理的だが権利後退もあり得る
厚生労働省は先頃、労働者と企業との雇用関係に関するルールを明確に定める「労働契約法」について論点をまとめ、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の労働条件分科会に提出した。昨年、省内研究会で報告書をまとめていたが、ようやく、審議会を舞台に本格的な論議が始まった。

厚労省は二〇〇七年通常国会への法案提出を目論むが、反対者からは従来の「労働者の権利が後退する」との意見も根強く、担当部局は「法案提出時期はかなり流動的」と明かす。事実、公開されている同分科会の席上で、労働者側の委員から現行の就業規則が、不利に改変されるのではと、異論が噴出している。厚労省は、七月には中間取りまとめを行いたい考えだが、労使に公益委員を交えた今後の議論の推移は全く不透明だ。

これまで労働者の権利は労働基準法に規定されるほかは、各企業と労働組合の協定により定められていた。ただ、様々に発生する労使のトラブル事例に関しては、ケース・バイ・ケースで法をどう解釈するか、裁判所に委ねるしかないのが現実。要するに、問題が起きた時は、過去の膨大な判例の積み重ねから勝つか負けるかを熟考し、それでも裁判に訴えるのは一か八かという、あまりにも荒っぽいのが労使対立の解決方法だ。こうした現状を改めるために、労働契約法は、採用から退職に至る全てのプロセスに関する事項を、組合・労働者と企業の間で契約で明確化できるようにするのが大義名分。

例えば、解雇をめぐる裁判で金銭支払いによる解決を容易にする「解雇の金銭解決」。もめにもめた上で、労働者側が裁判に勝っても、元の職場にすんなりもどるのは現実的には簡単でない。そこで、解雇を不当とする判決が出れば、職場復帰せずに金で代替する方が、互いにとって好都合というケースもあり得る。そうしたルールを明確化しようというわけだ。ただ、雇用者側が金に物を言わせて首を切る道具にならないか、そのような問題が労働者側委員の不審の的だ。

同分科会では「まず労働契約とは何かを議論すべきだ」と、昨年の研究会報告以前の流れを根底から問い直す意見さえ噴出しており、波乱は簡単には収束しないだろう。




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