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経済評論家 小倉 豊
ゼロ金利解除声明で気になる一言
バブル退治の日銀に海外の困ったリスク


日銀がついにゼロ金利の解除に踏み切った。大丈夫だろうか。福井俊彦総裁は、村上ファンド出資問題で世論の激しい反感の真っ只中にあったが、それゆえ逆に、金融政策判断がゆがめられることはない、という姿勢をアピールする必要があったのかもしれない。しかし、北朝鮮のミサイル発射や中東情勢の極度の不安定化は大きなリスクで、日経平均は利上げ後に年初来安値に迫っている。米経済の減速、ハイテク循環の下降入りも不安だ。二〇〇〇年にいったんゼロ金利を解除した後、景気や株価が大幅に弱含んだ局面に似ている部分も多いのだ。

日銀はゼロ金利解除にあたって「金融調節方針の変更について」という声明を公表したが、この中に気になる一文が混じっている。「これまでの政策金利水準を維持し続けると、結果として、将来、経済・物価が大きく変動する可能性がある」というのがそれだ。要は、既にミニ・バブルの懸念があって、それが弾けると再び不良債権、過剰設備、過剰人員に苦しむ恐れがあるということだ。

一方で、「極めて低い水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高い」とも言っているのだが、どちらかと言えば、市場関係者にとってはミニ・バブル警戒宣言の方が不気味にひっかかっているようだ。

米国の金融政策は、原油高騰などによるインフレ懸念と、雇用者数の伸び悩みに象徴される景気減速の間の板ばさみで、微妙な判断を迫られている。実は、日本もミニ・バブルへの警戒と、景気下押しリスクの間でなかなかに難しい状況にあるのだ。

日銀は、米国景気の動向やハイテク循環の分析については、プロとして腹を固めてゼロ金利解除に踏み切ったのだろう。だが、北朝鮮のミサイルや、イスラエルによるレバノン攻撃で原油がどうなるか、これはかなり賭けという側面が強いに違いない。市場が大きく動揺するような事態になった時、政策変更を急ぎすぎたとの批判は避けられないし、動揺鎮静化の新たな策も必要になろう。このあたりを、どう読んだ一手だったのか、興味をそそる問題だ。

まったく読みづらいリスクを前に、日銀がミニ・バブル退治に敢然と立ち上がると判断したのなら、それは六月の銀行貸し出しの急速な伸びなどが根拠になっているのだろう。同月の国内銀行貸出の平均伸び率は、不良債権処理などに関する特殊要因を除くと前年比2・6%増と、五月2・0%、四月2・0%からプラス幅が拡大した。特に、都市銀行が0・1%減から0・4%増に転じ、貸し出しを積極化していることがわかる。

金融筋によると、中小企業の借り入れの伸びが大きく、しかも設備投資資金より運転資金が拡大。これは仕入れ価格や人件費の上昇が背景になっているようだ。ヒト、モノの逼迫がカネの逼迫に及ぶ姿が見て取れる。業種別には、不動産やノンバンクの伸びが目立つ点もバブルを彷彿とさせる。

こうしたミニ・バブルとの戦いに乗り出した日銀を打ちのめすリスクは、北朝鮮、中東、米国などいずれも海外に潜んでいる。



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