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| 王子が仕掛けた北越の買収劇
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| 王子製紙が北越製紙に対して実施した敵対的TOB(株式公開買い付け)
は不成立に終わった。 王子は当初、 友好的な経営統合を目指すなど、
敵対的手法が敬遠される「日本の土壌」を意識したが、
これが裏目に出た面は否めない。 さらに、 主要株主の動向に関する「読み」の甘さも手伝って、
大企業による本格的な敵対的買収は失敗したが、
世界的に進行しているM&A (合併・買収)が今後、
日本でも本格化する流れは加速するに違いない。
◆ 「和洋折衷」 今回のTOBの成否を決定づけたのは三菱商事の動向だった。 三菱商事は北越が行った第三者割り当て増資を八月七日に引き受けて24・44%を保有する筆頭株主となり、 業務提携の検討を進める意向を示した。 この時点で北越買収が困難になっていたのは明らか。 王子の篠田和久社長も 「TOB成立は厳しい」 と認めていた。 それでも三菱商事からの株式購入に一縷の望みをかけていたというが、 この認識は 「甘い」 としか言いようがない。 三菱商事が一株六〇七円で引き受けた増資株をTOB価格の八〇〇円で譲渡すれば、 「売り抜け」 の批判は免れない。 「商社として信用を落とす行為ができるわけがない」 (幹部) と早くから公言していた。 さらにTOB阻止を狙いに日本製紙グループ本社が北越株を8・85%まで買い進めた結果、 三菱商事と日本製紙で約三分の一の株式を掌中に収め、 事実上勝負はついたと言えた。 その後も、 王子の篠田社長は北越の地元である新潟県を訪問し、 知事や新潟市長、 さらには北越大株主の第四銀行や北越銀行に協力を要請したたが、 冷たい扱いばかりが目立った。 今回のTOB劇は三菱商事の動向や地元の反応など様々な局面で 「日本的な土壌」 を垣間見せた。 また最終的に敵対的な手法を前面に出した王子も、 当初は水面下の交渉を通じた北越との友好的な経営統合を目指し、 TOBに踏み切った後も三菱商事から話し合いを通じた株式譲渡を目指した。 こうした経緯を振り返って篠田社長は 「和洋折衷」 と評した。 いきなり敵対的買収を行うのにはためらいがあったのは確かで、 王子もまた日本企業だったわけだ。 ◆市場の評価 王子の試みは業界や株主、 地元の支持を得られなかったものの、 株式市場関係者からは支持する声も多く出ていた。 日本の製紙業界は、 紙の需要増加が見込めない上、 中国で建設が進んでいる外資の大規模工場が本格稼働すれば、 日本への流入が拡大するのは確実と言われている。 そうした中で昨年から今年にかけ、 大王製紙や日本製紙、 北越が設備増強を発表。 こうした動きについて王子の鈴木正一郎会長は 「供給過剰で価格が下がり、 市場のかく乱要因になる可能性もある」 と懸念を示し、 北越には新工場の建設中止を要請したとされる。 国際的に厳しい経営環境を踏まえて王子はTOBを提案し、 収益拡大策を株主に示している。 その一方で北越は 「自主独立路線」 を訴えるばかりで、 株式価値を高めるための具体策を示して株主に訴えたとは言い難い。 王子はTOB不成立を受けて自前で工場建設する決断を下した。 約十倍の企業規模を持つ王子が本格的な体力勝負を仕掛けた場合、 北越は生き残れるのかどうか。 その時こそ、 日本の製紙業界が本格的なTOBの時代を迎えるだろう。 |
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