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経済評論家 小倉 豊
原発プラントめぐり東芝、三菱が火花

原子力発電プラントをめぐる世界の巨大メーカーの合従連衡が活発化している。引き金を引いたのは、米大手ウエスチングハウス(WH)を国際入札で買収した東芝だ。長年の提携相手であるWHの争奪戦に敗れた三菱重工業は先月十九日、WHのライバルであるフランスのアレバと提携して巻き返しに出た。

原油高や地球温暖化を背景に、発電の際に二酸化炭素を排出しない原発を見直す機運が高まっている。日本メーカーも急成長が見込まれる世界の原発市場に果敢に打って出ようとしているが、将来への布石は大きなリスクと背中合わせでもある。

三菱重工の佃和夫社長は、アレバとの提携発表の席上、「今後、WHと(の提携)は案件ごとに対応していく」と表明。これは「アレバとの合意を第一義として尊重する」ことを意味し、ずっと親密な関係だったWHとは距離を置くという宣言でもある。

三菱重工社内では、今もWHを「東芝に法外な金額で横取りされた」との意識が強い。同社は、WHに対し主要な原子炉機器を納入していたが、このままでは海外戦略の展望が描けないとの判断が、アレバとの提携に向かわせた形だ。

三菱重工・アレバの提携は、新興諸国向けに中規模原子炉を共同開発する内容。ただ、実際の製品投入五年以上も先となる見込みで、出遅れ感は否めない。東芝・WH連合に対抗心を燃やすアレバが「三菱重工を囲い込んだ」との見方もあり、提携がどの程度、同社のメリットとなるか現時点では不透明だ。

一方、東芝は沸騰水型軽水炉(BWR)のメーカーでありながら、対抗勢力だった加圧水型軽水炉(PWR)の主力企業であるWHの買収に踏み切った。世界市場の七割を占め、中国などでも大規模発注が見込めるPWRに進出するのが狙いだ。WH買収で東芝の負担は約五千億円と巨額だが、原子炉製造や保守サービスなどで安定的な収益が見込めると判断。「十五年以内の買収資金回収も想定している」(西田厚聡社長)と豪語した。

ただ、WHへの有力な共同出資先として予定していた丸紅が、企業連合への参加を断念。これにより東芝の負担額は予定より約千三百億円膨らんだ。今後は別の出資先探しを進めるが、財務負担は重くなり、半導体など他の有力事業への投資に対する悪影響を懸念する声も挙がる。

東芝と同様にBWRメーカーの日立製作所は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)とともに米テキサス州で改良型BWRの受注を目指す。しかし、中部電力浜岡原発などのタービン損傷事故で、まずは技術の足固めが求められる事態となっている。以前は原発市場での国際競争力強化のため日本メーカー三社の大同団結を期待する声もあった。今は「護送船団で事業を進める時代ではない」(経済産業省幹部)と冷めた見方が支配的だ。

唯一の被爆国として核アレルギーが強い日本だが、実は、平和利用の面では堂々たる核技術大国であることが浮き彫りになっている。




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