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| 安倍政権下での税制改革論議がいよいよ始まった。メンバーを一新した政府税制調査会(本間正明会長)の論議がスタートしたほか、自民党税制調査会(津島雄二会長)も今月二十日から来年度税制改正に向けて審議入りする。二〇〇七年度改正では、安倍内閣の「成長重視」の経済運営方針を受けて、企業設備の減価償却制度見直しや法人税の実効税率引き下げなどの「企業減税」が中心となる見通しだが、一方で消費税「増税」などの論議は〇七年秋以降に先送りされることが決まっている。 安倍首相は、政府税調への諮問で、喫緊の課題として「国際競争力の強化」「経済活性化のための税制」を掲げており、来年度改正の目玉として「企業減税」が最優先課題となるのは間違いない。「財政再建派」の与謝野馨党税調会長の突然の降板などで、税制論議は「成長重視派」一色の体制となったことから考えても、これは当然の帰結かもしれない。 しかし、ここで重要なことは、税をめぐる企業部門と家計部門の間の税負担のバランスをどう考えるかであろう。「成長重視」で企業減税を優先するのはある意味で必要だろうが、それによる将来の税収増はどれだけ見込めるのか。また、企業が潤うことで雇用・所得を通じた家計部門への寄与は期待できるのかどうかを十分に見極める必要がある。 例えば、御手洗冨士夫経団連会長は、日本の法人税の実効税率を約10%引き下げるよう求めている。欧米並みの水準に合わせよという主張だが、引き下げによる減税幅は約四・四兆円の大規模減税。仮にその分を消費税増税で賄うとすれば、約2%の引き上げとなる。 一方、家計の税負担は定率減税の廃止によって、〇七年一月以降、一兆円の負担増となるほか、来年秋以降の税制改革で消費税「増税」や各種所得控除の見直しが待っている。税以外の保険料負担増などを考えると、この時期に企業減税だけを突出させ、しかも前倒しで実施するというのは国民経済的なバランスを欠くというべきだろう。また、税制の「公正中立」の概念にも反する。 足元の景気拡大が「いざなぎ景気」を抜き企業業績も絶好調というなかで、さらに「企業減税」で後押しするというのは、成長率を引き上げ将来の法人税収の増加や消費税率の引き上げ幅圧縮という期待が、政府としてあるのだろう。しかし、国民の大多数が「景気回復の実感がない」と感じているように、企業部門の好調さが家計の豊かさにつながっていないことが、現在の最大の問題であろう。 となれば、先行する企業減税が家計部門にどれだけ寄与するかの十分な検証なくして、「成長路線」の税制改革に走ってもあまり意味はない。企業は大幅減税、家計は負担増と消費税増税の恐怖というアンバランスな姿では、国民の納得は得られまい。何よりも、税制は国民負担の全体像の中でより公正に議論されるべきだろう。安倍内閣が一方で掲げた格差是正のための「再チャレンジ支援」や「少子化対策」などの政策について、税制面で何ら有効な議論が起こってこないのは象徴的ですらある。 |
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