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経済評論家 舟泊良章
進むか、製紙業界の集約

国策産業の色合いが濃く、しかも中小の地場企業がひしめく日本の製紙業界は、国内需要の伸びがもはや期待できず、中国などの新興企業が日本への輸出を虎視眈々と狙っている。誰もが必要性を認める本格的な再編・集約を通じた競争力強化はかけ声ばかりで進まないが、ここに来て最大手の王子製紙と二位の日本製紙グループ本社が主導役を演じ始めた。両社はもともと兄弟会社で、ライバル意識や確執が様々な場面で表面化するだけに、再編の行方を左右するその動向から目が離せない。

◆本家と分家
日本製紙は、いわゆる財閥解体の一環として旧王子製紙から一九四九年に分割されて誕生した十條製紙を母体としている。王子、日本製紙はいずれも合併や統合を繰り広げながら規模を拡大し、首位の座を争ってきた。ただ、王子は分割時に主要施設を継承した「本家」で銀座の一等地に本社ビルを構えている。対する日本製紙はいわば「分家」で、今も本社を賃貸ビルに間借りしているが、兄弟会社であるがゆえのライバル意識は極めて強い。

製紙業界は国内需要の伸び悩みや原燃料価格の高騰で経営環境が悪化し、再編機運が高まっている。その中で、王子が北越に対する敵対的TOBを開始すると日本製紙は約一五〇億円を投じて北越株8・85%を密かに取得。その際、中村雅知社長は「強硬な手法で業界の秩序を乱す」と王子を批判した。ただ、TOBで王子が揺るぎない業界首位の座を確立する事態に危機感を抱いたのは間違いない。TOBを不成立に追い込み、北越と業務提携で合意している。

◆提携戦略で対抗
TOB阻止からほどなくして日本製紙は、レンゴー、住友商事と資本・業務提携に合意した。住友商事とは原料の古紙調達や海外販売で連携。また、レンゴーとの関係強化を通じて段ボールや紙箱に使う板紙部門を強化して王子を追撃する戦略だ。

強行な手法で再編を目指した王子は「企業を超えた設備の統廃合が必要」(篠田和久社長)と経営統合にこだわった。これに対して日本製紙は「合併より相乗効果が早く期待できる業務提携が現実的」(中村社長)としており、提携戦略を通じて将来の業界地図を描こうとしている。

王子、日本製紙の争いが進行していた中で、八位の東海パルプと十二位の特種製紙は経営統合の協議を密かに進め、来年四月に共同持ち株会社「特種東海ホールディングス」を設立することで合意した。再編が中堅メーカーに波及した形で、特種製紙の三沢清利社長は「現在の売り上げ規模では再編に巻き込まれることは間違いないが、(大手に)のみ込まれたくない」と、東海パルプとの経営統合に生き残りをかけた背景を説明している。

王子が口火を切った形の再編の荒波は、日本製紙が強く持つライバル意識、中堅メーカーや地場メーカーの生き残り策など、様々な確執や思惑を飲み込みながら、業界全体に広がる様相を呈し始めている。




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