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経済評論家 小倉 豊
1月に金利引き上げはあるのか

日銀は十九日の金融政策決定会合で、政策金利の引き上げを見送った。福井俊彦総裁は記者会見で、「このところ個人消費や消費者物価などの面で弱めの指標が出ている」と指摘。これまで、日銀の公式見解である金融経済月報で「個人消費は増加基調にある」としていた判断を下方修正せざるを得なかったのが大きな理由であろう。

日銀は基本的には、福井総裁が「金融政策正常化の方向にさらに進んでいく必要がある」と述べるように、金融市場にマネーを大量供給してきた量的緩和政策から、景気の強さに見合った中立的な金利水準に引き上げようとしている。秋ごろまで、年内利上げ説が根強かったのはそのせいだ。

日銀も認めるように、現状では企業部門の収益や投資は極めてしっかりしているが、国内総生産(GDP)の五割を占める個人消費は、長らく伸び悩んでいる。バブル処理に十数年を費やした企業が、再び人件費の重みに苦しむことを恐れ、労働分配率を上げることに過剰に慎重になっていることが、その背景になっているとみられる。日本経団連が今月まとめた次の春闘に向けての方針でも、国際競争力があって長期的な利益確保の実力がある企業は独自に賃上げに動いても構わないが、その自信が持てない企業まで一律の賃上げに向かうのは無理、としている。そうなると、1月までに、家計の所得が伸びたり、消費が活発化して物価が強含んだりすることを確認できる指標はないわけで、利上げは一カ月の先送りでは済まなくなりそうな気配もある。

さらに、政治要因を考え合わせると、十二月の利上げ先送りは、「追加利上げの市場の期待が総崩れになる」(エコノミスト)恐れを含んでいる。まず、年が明ければ通常国会が開会し、二〇〇七年度予算案の審議が始まることが第一。審議中に利上げに踏み切れば、予算案の前提となった金融環境が変化することになるため、日銀は動きにくくなる。そうかといって、仮に新年度予算が動き始める四月まで待てば、統一地方選挙戦が本格化し始め、さらに七月の参院選が視界に入ってくる。自民党の苦戦が想定される参院選に向け、金利の引き上げには一段と微妙な判断が加わってくる。

選挙という政治イベントからなるべく影響を受けない道を選ぶなら、予算案審議が真っ最中の一月に利上げを強行する選択があり得る。しかし、十二月に見送って、一月に利上げするだけの、説得力のある材料は出そうもない。日銀の金融政策は、年明けから胸突き八丁の局面に入るのは確実だ。




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