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経済評論家 小倉 豊
投資信託から見た不動産の活況

不動産投資信託(REIT)の価格が上昇している。東京証券取引所が算出するREIT指数の上昇率は前年比で30‐35%ものアップだ。日銀がゼロ金利を解除したといっても、短期金利の誘導目標は0・25%に過ぎず、先行きも極めてゆっくりしたペースでしか利上げしないという日銀のメッセージを受けて、長期金利が低位安定していることが背景のひとつ。このREITは、東京都心の地価上昇のけん引役でもある。

REITの仕組みは、まず胴元のファンドが投資家から資金を集め、それを不動産開発に投資し、その運用益(家賃など)から手数料を引いて投資家に還元するもの。ただ、こうした最も単純な手法では魅力的な配当を還元することはできない。

REITを組成するファンドが実際に手掛けているのは、次のような投資だ。まず、百億円のオフィスビル開発をするために、投資家から集めるのは二十億円。残りの八十億円は銀行から調達するのだが、今の超低金利の下では、年利1%程度も可能だから一年で八千万円のコストで済む。一方、家賃収入が年間三億円入ったとすれば、銀行への金利を差し引いた年二・二億円が粗利益となる。諸費用を引いて年二億円の最終運用益を得られれば、投資家には二十億円に対して二億円、年間10%もの配当が可能になる。

富裕層がこうした投資対象を放って置くはずがない。このようにして、ファンドには資金が流れ込み、次々に都心の開発が進んでいくわけだ。これがバブル的であるかどうか、判断は難しい。バブルと断ずることができるなら、それを理由に日銀はもっと果敢に利上げを推し進めるだろう。しかし、都心のオフィス賃貸料は昨年夏場から明確に上昇し始め、空室率率は3%程度まで需給が引き締まっている。開発の実需はあり、REITに組み込んだ資産の収益率は高まっているわけで、それを反映したREITの価格上昇は不自然とは言えなくなる。

ただ、どこかキツネにつままれたような感覚が拭えないのは、投資家への高配当が銀行の低金利融資に支えられているからかもしれない。銀行の貸出動向に目を転じると、REITが含まれる投資業・貸金業向け融資は、昨年十二月末で前年同月比5・0%増と大きく伸びている。企業向け融資に占める「不動産業、貸金業、投資業」向け融資の割合は、バブル期の約16%を大きく超え、19%弱に達しているもようだ。

不動産と関連が強い融資の比率が増えているのは、かつて銀行融資に頼っていた企業が、資本市場から直接資金を調達するようになったことも一因だ。

しかし、低金利による金余りが寄与していることも頭のすみにおいておく必要があるだろう。



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