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| 粉飾決算など証券取引法違反の罪で起訴されたライブドアの前社長、堀江貴文被告に対して東京地裁は懲役二年六月の実刑判決を言い渡した。証取法違反での実刑は異例だが、「一般投資家を欺き、その判断を誤らせた罪は重い」と断じた。市場ルール無視に対する一罰百戒の意味もあろう。しかし、堀江被告が時代の寵児ともてはやされたのは、つい昨日のことだ。「ホリエモン」を生み、そして喝采を送った社会への警鐘と受け止めるべきだろう。 ◆ギリギリの手法 ライブドアは一九九六年にホームページの作成会社「オン・ザ・エッジ」として創業。二〇〇〇年に上場すると、高い株式時価総額を背景に証券会社などを次々に買収して巨大化。フジサンケイ・グループというメディア企業の買収まで仕掛け、勇名を馳せた。 フジサンケイ・グループの買収に向けては時間外取引で株式を大量取得。違法行為ではないが、脱法的だとの非難を受けた。創業時の社名「オン・ザ・エッジ」は翻訳すると「鋭い刃の上」。のるかそるかの勝負を地でいく違法ギリギリの経営姿勢を物語っている。 ◆自由化の寵児 ただ、ライブドアの急成長は、資本市場の自由度を高めて新興起業家が資金調達し易くするのを目的の一つとした金融制度改革があったからこそ可能だった。この時代背景を最大限利用して莫大な富を手にした堀江被告は「金で買えないものはない」と言い放った。 拝金主義そのものだが、「時代の寵児」ともてはやされ、自民党が放った刺客の一人として〇五年の衆院選に立候補。武部勤幹事長(当時)は「我が息子、我が弟」とまで言って持ち上げ、全面支援した。 ホリエモン人気が極めて高かった証左で、給与水準が低い若年層、いわゆる「負け組」からも高い支持を得ていた。 その理由はさまざまだろう。 常にTシャツ姿のホリエモンに若者が格好良さを感じたのかもしれない。ただ、無一文からスタートし、フジサンケイ・グループの買収に動いたホリエモンは、不満を抱く若年層に既存秩序への挑戦者、改革者と映ったのは否定しがたい事実だ。 こうした低所得若年層は、九〇年代半ば以降に生まれた比較的新しい社会層だが、誕生した背景はホリエモンを生み出した経済の自由化や改革で同根だ。 ◆憤まんのはけ口 ライブドアの成長を助けた資本市場の自由化と並行して労働者派遣法が改正され、労働市場の自由化が進行。これを受けて多くの企業が正社員を削減し、派遣労働者を増やした。しかし、派遣社員は所得や地位の向上が望めずない。こうした経済や社会の現状に風穴をあける挑戦者の姿を堀江被告にみていた側面は否定できない。 そのホリエモンは社会的に葬り去れようとしているが、低所得若年層を生み出した責任の一端を担うであろう企業は、近年の業績回復を受けて、派遣労働者やパート、アルバイトから正社員への切り替え進め、いわゆる格差の是正に向けて動いているのだろうか。 堀江被告への実刑判決は「一罰百戒」としてだけでなく、ホリエモンを支持する若年層を生み出した社会や企業に警鐘を鳴らしているのだと思う。堀江被告を社会的に抹殺する一方で、低所得の若年層に現状を甘受しろというのでは、矛盾や確執が解消されぬまま、たい積していくことになる。 |
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