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| 投資信託のブームが続いている。投資信託協会によると、二〇〇七年二月末の株式投信の純資産残高は五十八兆円、公社債投信などを含めた全体では七十二兆円に達し、過去一年間の増加額は約十四兆円にも上る。投信ブームは過去にも何度かあったが、投信業界は「今度こそ本物」と胸を張る。その背景として、運用商品の多様化やリスク分散の進展、銀行や郵便局などの窓販拡大、投資家となる家計のニーズ定着などを挙げる。また「団塊世代」の退職が始まり、退職金の中から預貯金代わりに投信を購入する人たちも増えている。 では、このブームは本当に長続きするのか。実はまだまだ危うい面も目に付く。例えば、投信協会が昨年実施したアンケート調査によれば、投信の購入目的は「老後の生活資金」(37%)がトップ、購入資金は「定期性預貯金から」(44%)という人が最も多かった。これに、投信保有層の年代別分布(四十歳代以上88%、五十歳代以上70%)を重ねると、平均的な投信購入者のイメージは、定年後や老後の備えとして、預貯金より利回りの良い投信に手持ち資金をシフトする中高年層ということになる。 つまり、投信ブームといっても、業界が期待するように、若い世代が中長期的な資産形成の手段として投信を位置付ける状況には程遠い。中高年世代が預貯金に代えて、投信を老後の「年金代わり」と考えて購入していると考えられる。実際、売れ筋の株式投信を見ると、毎月分配金が受け取れる「毎月決算型」が人気上位を占めている。 投信は本来、個々の株式投資に代わって、多人数から集めた資金を専門家が運用して利回りを保証する仕組み。貯蓄ではなく「投資」であり、元本保証はない。しかし、先の調査では、投信への不満のトップは「元本保証がない」こと。一方のメリットは「定期的に分配金がある」こととしており、家計のニーズが本当に定着したかどうか疑わしい面もある。これらは、現在の投信ブームの一つの盲点と言えるだろう。 一方、リスク性商品の割に「利回りはそれほど高くない」と感じる層も少なくない。株式投信のうち、新興市場の株式や未公開株などに運用する投信は基準価額の騰落率も激しい。今は内外の株式市場の活況に支えられているが、市場が反転すれば、元本保証のない投信に資金が流入し続けるかどうか。海外資産に運用する投信では、円高などの為替リスクへの注意も怠れない。十分なリスク認識の徹底や投資教育の体制づくりが必要だろう。 また、投信購入にかかる手数料や信託報酬等の「投資コストが高い」という不満も多い。解約手数料も含めて投資額の平均3〜5%という手数料は、高度な運用能力に期待する投資家から見れば「高過ぎる」と映るだろう。 いずれにせよ、投資信託が世代を超えて日本の家計に幅広く受け入れられるには、まだ相当の時間が必要だ。今は広がる将来不安の中で中高年層の一時的な「マネーシフト」がブームを支えているとみてよい。そうした「安定志向」を突き抜けて、「成長」に期待する健全な志向が定着するときこそ、本物の投信ブームと言えるのではないか。 |
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