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| 途上国に飢餓を呼ぶ懸念も
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| トウモロコシなどを原料としたバイオ燃料の普及が世界的に拡大している。米国のブッシュ大統領が二〇〇六年一月の一般教書演説で「石油依存症からの脱却」を打ち出し、バイオエタノールの利用拡大を表明したのが火付け役となり、日本のガソリンスタンドでも販売を開始。その一方で、原料である穀物の国際価格が急騰し、トウモロコシを主食とするメキシコで抗議デモが起きた。先進国のエネルギー戦略が新たな飢餓を引き起こす懸念さえ出ている。 ◆四割アップ バイオ燃料は二酸化炭素()吸収する植物を原料としているため、地球温暖化対策として温室効果ガスの削減を定めた京都議定書の対象になっていない。このバイオ燃料はガソリンに混ぜて自動車を走らせることが可能。使い勝手の良さもあって米国はバイオエタノールに補助金を支出して一七年までにガソリン消費量の一五%を代替するとの目標を掲げた。ただ、米国は京都議定書から離脱しており、環境対策というよりも新たなエネルギー確保を狙っている面は否定できない。 バイオ燃料の原料はブラジルではサトウキビだが、米国はトウモロコシで、米国産トウモロコシがエタノール向けに使われる割合が近年急増している。二〇〇〇年は6%程度だったが、〇六年産は20%に達し、五〇億ガロン(一ガロン=三・七八g)生産した。 現在もエタノール工場の新設が急ピッチで進んでいる。二年内に生産能力が倍増し、米国産トウモロコシの約半分が消費される計算だ。ブッシュ大統領が掲げる15%のガソリン代替を実現するには三五〇億ガロン生産する必要があるため、この目標の実現は極めて難しいが、生産が急拡大する構図は誰もが認めるところだ。 米農務省の〇六―〇七年度見通しによると、世界全体のトウモロコシ生産量七億dの約四割に当たる二億六〇〇〇万トンを米国が生産する。その米国は世界のトウモロコシ貿易の七割を占めるとあって、バイオエタノールの普及に歩調を合わせる形で国際価格がここ数年で約四割上昇、一〇年来の最高値をつけた。この影響をまともに受けたのがメキシコだ。 ◆吸収量 メキシコはトウモロコシの原産国とされるが、北米自由貿易協定(NAFTA)に伴い今は米国からの輸入に頼っている。トウモロコシで作る主食トルティーヤの価格が上昇し。これに耐えかねた庶民が今年一月に大統領官邸で抗議デモを行った。価格上昇は、他の穀物にも波及しており、穀物を輸入に頼っている途上国や貧困国で食料供給に支障が生じ、飢餓が起きないとも限らない。 米国産トウモロコシを家畜飼料用として大量輸入している日本でも農家の経営を圧迫され始めているが、貧困国は深刻さの度合いが全く違う。 穀物のバイオ燃料としての利用は国際的な火種になる可能性が高いが、懸念はそれだけではない。温暖化対策になるかどうかも疑わしいのだ。 マレーシアやインドネシアは、パーム油を使ったバイオ燃料の生産を本格検討している。コーヒーに入れるフレッシュ・クリームや石鹸の材料となるパーム油はパーム椰子から取れるが、このパーム椰子は赤土の酸性土壌で高温多湿な地域が生産に適している。この条件にぺったりな国の代表がマレーシアだ。 地の利を生かして、マレーシアや隣国インドネシアはバイオ燃料の生産拡大を目指そうというのだが、パーム椰子の生産拡大には熱帯雨林の伐採が必要になる。熱帯雨林の吸収量はパーム椰子とは比較にならない。パーム椰子の畑に大規模に転換されれば、地球温暖化の防止に逆行するのは避けられない。バイオ燃料の利用を通じて「環境派」を自認するは止めたほうが賢明だろう。 |
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