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| 外国企業が自社株を使って日本企業を買収できる「三角合併」が五月から解禁された。国境をまたぐ企業買収の選択肢が増え、日本企業をめぐるM&A(合併・買収)の動きが一段と活発になると予想される一方、経済界を中心に「外資脅威論」も根強い。世界的な「M&A新時代」に日本企業はどう対処すべきなのか。改めて考えておく必要がある。 M&A仲介のレコフによると、昨年の日本企業のM&A件数は二千七百七十五件。このうち投資ファンドを含めた外国企業による「外―内」案件は三百件以上に上る。最近では、スチールパートナーズによるサッポロビール買収提案や、日興グループのシティ傘下入りなど大手有力企業が標的となるケースも増えた。 「三角合併」は、外国企業が自社株を使って在日子会社に日本企業を買収させる方式。膨大な株式時価総額を誇る外国企業にとっては、従来の現金買収やTOB(株式公開買い付け)に比べ相対的に安価な企業買収の道が開けることになる。ただ、今回の制度改正で「三角合併」方式が急増するかとなると、それほど単純ではない。 三角合併には買収側、買収先双方の株式が上場されていることが最低条件。また、買収によって持ち株の国籍が変わる投資家サイドの「売り」で買収側企業の株価が下がる(フローバック現象)リスクもある。株式を使ったクロスボーダー案件は全M&Aの数%にすぎない。三角合併導入で外資が日本企業を蹂躙するといった「脅威論」は行き過ぎだろう。 重要なことは、日本市場は「投資」に関してオープンという原則を維持していくことだ。M&Aでは、外資による日本企業買収ばかりが注目されるが、世界市場では、日本板硝子の英ピルキントン買収や東芝の米WH買収など「内―外」案件も増えている。互恵平等の原則から言っても、企業間の資本交流に壁を設けてはなるまい。三角合併はあくまで一つの手段にすぎない。 その上で問題となるのは、日本企業の積極的な経営姿勢だろう。日本企業は、欧米大企業に比べてなお資本効率(例えば、株主資本利益率は米企業の半分)が低い。生産・販売、技術開発、経営管理などの面で大胆な経営資源の組み換えが欠かせない。非効率な低収益企業が資本や経営を外資に委ねることは決して悪い選択ではない。企業価値向上に向けて、その真価を問われているのは、実は日本企業の経営力そのものだ。 M&Aの中には、買収先企業の意向を無視した敵対的買収も少なくない。所有者不明の投資ファンドが買収劇を先導するケース(新経営陣との株式交換契約)など、三角合併が悪用される懸念もないわけではない。しかし、そうした場合も当の日本企業が必死で企業価値向上に取り組んでいれば、株主は外資の買収に応じないし、世間も反発するだろう。 M&Aの潮流は、世界的な金余りを背景とした企業資本の統合再編ともいえる。グローバル化した経済の下では、新たな成長期に向けて熾烈な企業間競争は避けられない。単なるマネーゲーム的なM&Aは排除されて当然だが、「ゴーン氏の日産再生」のように資本の効率化や経営力を高めるM&A本来の機能に背を向けてはなるまい。 |
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