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経済評論家 小倉 豊
トヨタ、業績急拡大にブレーキも

トヨタ自動車は、二〇〇七年にグループ全体の生産・販売台数が米ゼネラル・モーターズ(GM)を追い越し、自動車業界で世界首位となることが確実になった。ただ、急成長を支えてきた北米市場で景気減速懸念が浮上、国内販売も不振が続く。トヨタは生産拠点の拡充を続けるが、次の成長の柱と位置付ける新興国での事業が軌道に乗るまで、業績拡大にブレーキがかかる可能性がある。

トヨタは、〇八年三月期の連結営業利益の前期比伸び率を0・5%と予想、〇七年三月期(19・2%)に比べ大幅縮小を見込む。同社は業績を当初低めに予想し、年度途中で上方修正することが多いが、今回は不透明要因が多い。

稼ぎ頭の北米市場は、販売台数が1・6%増にとどまる見通し。渡辺捷昭社長は「原油価格が安定すればさらに伸びる可能性もある」とするが、米経済の変調が自動車需要に悪影響を及ぼす懸念は大きい。昨年新型の生産を始めたピックアップトラック「タンドラ」も、年間販売目標の二十万台には遠く及ばない情勢だ。

国内市場はさらに深刻で、〇六年度の総販売台数(軽自動車を除く)は二十九年ぶりの低水準に落ち込んだ。今年から「団塊の世代」が定年を迎えて膨大な退職金が消費に向かうとの見方もあるが、販売会社幹部は「団塊マネーの効果は一時的。その後は少子化で市場がしぼむばかり」と浮かない顔だ。 

それでも、生産能力拡大のアクセルを緩めることはできない。特に北米では現地生産の強化による貿易摩擦の再燃回避が最優先課題だ。

トヨタは米国販売に占める現地生産車の比率が従来六割程度あったが、昨年は53・7%まで低下、70%を超えるホンダや日産自動車との差が広がっている。トヨタは〇六年十一月始動したテキサス工場に続き、〇八年はカナダ第二工場、一〇年には米ミシシッピ州の新工場を稼働させる。

これで米国で人気の高いスポーツ用多目的車(SUV)の現地化が進み、次の検討対は「ヤリス」(日本名ヴィッツ)級の小型車が有力だ。安価で燃費が良いヤリスは販売好調で、ミシシッピに続く工場建設も現実味を帯びつつある。

次に飛躍を狙うのが、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を中心とする新興市場だ。新興国は自動車の普及が急速に進む有望な市場で、〇六年の中国・広州に続き、〇七年末にはロシアのサンクトペテルブルクでも車両生産を開始する予定。インドでは第二工場の建設計画が水面下で進行しているもようで、新興市場向けに開発中の低価格車を生産する可能性が大きい。

六月には、ジム・プレス常務役員を初の外国人取締役に登用する。外国人取締役の誕生は、世界最大手としてグローバル化の進展度合いを示す意味合いが強い。ただ、「人材面でのグローバル化とは取締役の相当な人数を外国人が占めることだ」(奥田碩相談役)との声もあり、取り組みは始まったばかりといえる。



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