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| 自由化の「歪み」もグローバル化?
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| 米英に倣った規制緩和・自由化による経済活性化を訴えて選挙戦を戦ったニコラ・サルコジ氏がフランスの新大統領に就任した。急激に進むグローバリゼーションに適応するべきだとの主張が国民に受け入れられた形。欧州の大国が政策の舵を大きく切ることで、格差拡大や貧困層の増大に代表される自由化の「歪み」が地球レベルで拡大し、世界史が新たな局面を迎える可能性もはらんでいる。 ◆正社員が470万人減 規制緩和、小さな政府、市場重視を掲げて経済改革に取り組んだ先駆者は米国のレーガン元大統領だった。この改革に呼応する形で英国のサッチャー前首相は「揺り籠から墓場まで」と称された手厚い福祉政策を転換し、自由化・競争促進を通じて経済再建を果たした。その後、英政権は労働党に移ったが、ブレア首相も経済政策は「サッチャー流」を踏襲した。 日本でも規制緩和は政策の主流となり、近年は構造改革の一環として派遣労働法が施行されるなど労働規制の緩和が進められ、一九九七年から一〇年で派遣・契約・嘱託社員などが約三百四十万人、パート・アルバイトも約百八十万人それぞれ増加した。こうした低賃金労働が拡大するのと連動する形で正社員は約四百七十万人減少している。 正社員削減は景気低迷が原因の一つとされたが、息の長い景気拡大が続く今も派遣やパートで働く層が減少する気配は出ておらず、長時間働いても生活保護世帯の収入レベルさえ稼げない「ワーキング・プア」が社会問題化している。結婚や子育て可能な所得を得られない若年層の増加が出生率低下を招いていると指摘されるほどだ。 規制緩和で先行した米国は格差が拡大し、現在は上位5%の富裕層が国富の六割を所有していると言われる。 ただ、こうした格差の深刻化は決して新しい事象ではない。 ◆「平等」「博愛」から「自由」へ 一八世紀から一九世紀初頭にかけて産業革命が西欧で起きて経済発展したのとは裏腹に、社会の底辺で生きる貧困層が増大したのはよく知られている。こうした社会矛盾の中から共産主義思想が台頭し、旧ソ連が誕生。資本主義諸国も労働法制の整備など競争を制限する政策を導入、福祉も充実して社会の安定を図ってきた。 しかし、平等な社会の実現を理想とした旧ソ連は既に崩壊し、日本における派遣労働の拡大といった国際競争を意識した低賃金化に積極的に歯止めをかける勢力は見あたらなくなっている。 近年の格差拡大を目の当たりにすると、時代の針が逆戻りしている感さえあるが、そんな世界の現実を受け入れて社会制度を変革し、経済を活性化するべきだと過半数のフランス人が判断した。「自由」「平等」「博愛」という矛盾する目標をフランス革命の精神として受け継ぎ、これまでは手厚い社会保障を通じて「平等」「博愛」の実現に重きを置いていたが、サルコジ新大統領が経済社会政策で「自由」に比重を移すのは確実だ。 米英や日本にフランスが足並みを揃えた形で、市場重視に貫かれた世界規模の競争時代が幕を開けようとしている。企業が各国で同じルールや条件の下で戦うだけでなく、勤労者も国家を超えて同じ賃金水準で競い合う時代になる可能性も否定できず、格差拡大や貧困増大といった「歪み」もまた国家の枠を超えて進展するだろう。そんな中で社会や生活の安定が保たれるのかどうか。従来の国家単位ではなく、グローバルな施策や対策が必要にならないとも限らない。 |
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