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| 地方の中小企業を公的資金で再生支援する「地域力再生機構」の設立が固まった。政府の「骨太方針二〇〇七」にも明記され、「ふるさと納税」構想などとともに、安倍政権の「地方重視」の新政策とされる。だが、これが本当に「地域力」再生に結び付くのか、疑問は多い。何事も国が前面に出てやればよいというのは、地方蔑視の思想でもある。 この新たな機構は、今年三月末に解散した「産業再生機構」の地方版。地域の経営不振企業や自治体絡みの第三セクターなどを対象に、国のバックアップで事業再生を図るという触れ込みだ。全国レベルの再生機構がダイエーやカネボウの再生に成功したのを見て、地方でもそれと同じ仕組みを導入すればよいという安直な発想と言える。 しかし、よく考えれば分かるように、全国レベルの「金融危機」の時代は去り、不良債権比率も大きく低下し、今や金融機関が企業の「カネ詰まり」を演出しているわけではない。地域経済の不振は、景気拡大の波及遅延や地域の産業構造の転換がスムーズに進まないことなどが基本的な原因である。 ところが、この構想を提示した経済財政諮問会議の民間議員によれば、「地域の資金循環の停滞」が問題だという。問題企業に固定化されたマネーを解き放てば、地方景気は良くなると言いたいようだが、話は逆。景気が良くなれば、マネー循環は自ずと「地域循環型」に戻るはずで、マネーの流れは現実の経済の反映にすぎない。 再生機構の本来の役割は、経営不振企業に融資した金融機関の複雑な利害調整にある。この点、ダイエーなどと違って、地方の中小企業の場合、融資機関は地銀などに限られ、民間がその気になれば利害調整はそれほど難しくない。公的機関がわざわざ出ていく必要があるのかどうか。政府の過剰介入はかえって民間の活力を阻害する可能性が強い。 政府は「機構と民間ファンドの提携」「機構の仕事も民間へアウトソーシング」(渡辺喜美特命担当相)などと、民間重視を強調するが、政府保証の付いた公的資金(五百億円規模)を使う以上、新機構が民間ファンドに単にビジネス機会を与えるだけの「トンネル機関」であってよいはずはない。ここは、地域金融機関と当事者企業の懸命の努力に委ねる方が現実的だろう。 地銀などの間では「既に再建すべき企業の再生はあらかた終わった」との声もある。政府として公的資金を使う以上、地域の問題中小企業が地域全体の「金融リスク」との関係でどう問題なのか、金融庁検査の結果とも照合した現況をまず公表すべきだろう。 都市と地域の「経済格差」の問題は確かに深刻だ。しかし、地域経済にとって重要なことは、何よりも「地方の自立」という地方分権体制。企業誘致や地場産業の育成などは、地域それぞれの発想や手法に基づくものでなければならない。国が支援すべきは、経済全体のかじ取りや景気振興であって、個々の地方企業にまであれこれ手を差し延べることではない。新機構は「官から民へ」の流れに背反し、地方の自立を妨げる二重の過ちを犯すことになる。 |
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