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| 企業の社会的責任(CSR)とは、一般に法令順守や様々な社会貢献活動を指すことはよく知られている。社会に生きる企業は単なる「利益増殖」機関ではなく、顧客、従業員、地域、株主や、さらに最近では「環境」との調和的な関係を大事にせよという考えである。 だが、最近の相次ぐ犯罪まがいの企業不祥事を見ていると、こうした基本的な企業姿勢すら日本では十分に定着していないことにあきれてしまう。かつて経団連は企業の「CSR憲章」制定を呼び掛けたが、魂が抜けたままのスローガンでは役に立つまい。 もちろん、CSRを踏みにじった企業は、行政処分や刑事罰を受け事業縮小や倒産といった事態に追い込まれ、それなりの社会的制裁を受ける。賢明な消費者ならその企業の製品を買わないだろう。だが、日本の場合、欧米社会に比べて「不実企業」へのペナルテイーはまだまだ緩やかだ。その背景には、企業に融資する側の金融機関の対応の問題がある。 例えば、この数年間、世間を騒がせた企業不祥事はいくつも露見したが、それらの事件を契機に取引金融機関が融資を削減、停止したという話はほとんど聞かない。企業が倒産でもしない限り、金融機関間の「競争」を名目に綿々と融資を続けているのだろう。 しかし、世界の金融界では今、「金融機関のCSR」を超えて「CSR金融」の潮流が押し寄せている。銀行自らの社会貢献や地域貢献だけでなく、例えば、環境汚染企業には投融資をしないという形で、金融仲介の機能そのものを大胆に変えようとしているのだ。 日本の金融界は、ポストバブルの苦難を乗り越えて金融機能がようやく正常化した現在、預金者向けサービスの拡充や地域貢献、省エネ、リサイクルなど(狭義のCSR)に取り組んでいるが、肝心の「CSR金融」の足は遅い。一部には企業の環境対策に応じた「環境格付け融資」や「SRIファンド」などもあるが、「社会的責任」や「ガバナンス」に準じた投融資の見直しはほとんど進んでいない。 国連環境計画(UNEP)は昨年、世界の機関投資家は投資決定のプロセスに、「環境」「社会的責任」「ガバナンス」を反映させるべきだとする責任投資原則(PRI)を採択した。これは、環境とともに社会的責任という尺度を、金融界はもっと活用してほしいという国際的な要請でもある。 社会的に許されない戦争、テロ、武器、麻薬関連企業や、環境汚染に与する企業にはカネを貸さない。さらに、CSRをないがしろにする企業にも資金的援助はしない。こうした考え方は今後間違いなく世界的な潮流となる。かつて、水俣病の汚染源になった公害企業チッソは、融資した銀行も矢面に立たされた。これからは顧客や消費者の監視の目は当の企業だけでなく金融機関にも向けられるだろう。 今、カネ余りの環境下で融資先を減らしたくないという目先の利益至上主義では、今度は銀行の社会的責任こそが厳しく問われることになる。 |
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