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| 「自民惨敗、与野党逆転」の7月参院選の結果は、一言で言えば、安倍政権への不信任であった。内閣不支持率が60%を超える中、衆参の与野党ねじれ現象の下で、今後の政権運営が極めて厳しくなったことは間違いない。とりわけ、選挙結果を受けて、経済運営の面では何をどう変えていくのか。そのことが今、真剣に問われている。 首相は続投表明の際、「基本路線は国民に理解されている」と訴えたが、持論の憲法改正や教育改革だけが念頭にあるとすれば、あまりに民意に鈍感すぎる。単純な「成長至上主義」の経済運営では、様々な「格差」を生み、経済的弱者を拡大する。そうした経済運営の方向そのものを、どう見直すかが求められている。 今後の経済政策の焦点は、まず2008年度予算編成があり、今秋からは税制抜本改革と消費税論議が始まる。地域格差に揺れる地方行財政改革も大きな注目点だろう。与党の地方区惨敗を考えると、予算、税制面で何らかの「修正」が加わる可能性は高い。 来年度予算の骨格は、6月「骨太方針」で「最大限の歳出削減」を示したが、公共事業費の「3%削減」は明記されなかった。このため、すでに地方からは、道路予算の増額を求める声が高まっており、与党内部でも「地方配慮」を名目に歳出削減への慎重論も根強い。 しかし、赤字財政の下での限られた予算では、財政再建への歩みを止めるわけにはいかない。予算は明確な政策順序に従う必要があり、道路など「公共事業」優遇は再び「昔の自民党」に後退することにもなる。地方経済の活性化には、大胆な税源移譲を含む「地方分権」の確立しかない。交付税改革や補助金一括化などで地方の自立を促すことが必要だ。 税制では、消費税の「増税」論議が最大の焦点だが、与党惨敗を受けて政府の「増税シナリオ」(08年増税法案、09年実施)の見直しは避けられない。政府税調でも「民主党の考え方を理解して」(香西泰会長)というから、増税論議には一応ブレーキが掛かるようだ。ただ、一方で所得税の各種控除の撤廃、削減の方向は変わらず、「サラリーマン増税」が再浮上する公算は大きい。ここでも、富裕者への資産課税や業績好調の企業に対する税制をどう取り扱うかが、安倍内閣の「成長主義」路線の修正度合いを測る目安となる。 労働法制についても、規制緩和や民間主導の方向は間違いではないが、そのことが企業のコスト削減に寄与するだけでは、経営・労働側の軋轢を増幅するだけに終わる。最低賃金の引き上げなどを含め、法的なチェックや低賃金層の経済的底上げが欠かせない。注目の「再チャレンジ支援」策も、結局は霞が関の予算要求の道具に使われたにすぎない。 グローバル経済の下では、企業の競争力向上が求められるが、だからといって、企業と家計の適正なバランスを壊してしまえば、経済社会は円滑に循環しない。不安定な輸出主導の経済から消費が支える内需主導型経済への転換にはいったい何が必要なのか。「改革路線」は堅持しつつ、行き過ぎた振り子を元に戻す方策を、首相はこの際じっくり考えるべきだろう。国民は「修正」の中身を凝視している。 |
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