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経済評論家 小倉 豊
米GMがトヨタに白旗
今年の生産計画で13万台差
米ゼネラル・モーターズ(GM)が、今週発表した2007年の生産台数計画が、928万5000台にとどまり、トヨタ自動車(ダイハツ工業と日野自動車を含む)の942万台に、13万5000台の差で逆転を許すことがはっきりした。GMは、実績の取りまとめを待つまでもなく、生産の「計画」段階で白旗を掲げた形になった。

トヨタは販売台数でもGMを上回ることが確実で、GMは1931年以来76年間続いた業界盟主の座を明け渡す。トヨタの勢いは衰える気配を見せず、首脳部は部課長に、平家物語のあまりに有名な一節を引いて「おごれる者は久しからず」と既に引き締めにかかっている。生産台数は08―09年に1000万台の大台を突破する見込みで、このままではさらにGMを引き離す形になる。

これまでトヨタは、米国や中国などで積極的に工場投資を進め、04年以降は前年に対する伸びが70万台前後という急成長。06年は16万台強の差でトップに踏みとどまったGMも、07年はガソリン高騰を背景に得意の大型車種が伸び悩んだ。

トヨタの拡大の動きはさらに続き、07年末にはロシア工場が稼働する予定。08年にはカナダ第2工場、10年には米ミシシッピ工場で生産が始まり、中国でも需要の急増に応じて生産能力の増強を図る。出遅れていた新興市場では、10年にも専用の小型低価格車をインドなどに投入し、開拓を進める。

インドにおける日本の自動車会社で存在感があるのは、以外にもいすゞだが、これは故瀬島龍三氏が仲介して実現したGMとの提携に助けられた面が大きい。今後、新興市場を開拓するにあたり、世界を長く席巻してきたGMブランドの壁にぶち当たる局面もあろう。

GMとしても、手をこまねいてトヨタの膨張を見ているわけではないだろう。07年に逆転を許した直接の敗因は、原油高、環境問題の浸透でアメリカ的な大型車が不振だった点だ。まずは、燃費のいい小型車の開発、トヨタに圧倒されているハイブリッド技術の革新にどう取り組むか見物だ。また、中産階級がようやく育ち始めた新興市場に投入するなら、低価格車の品揃えは必須。収益好調のトヨタも、いずれ1台当たりの利益をどう確保するかという課題に直面しよう。GMがトップ奪回を狙ってくれば、消耗戦に入る恐れもある。

ところで、日米自動車摩擦は、気配すら感じられない。現地生産主義を掲げるトヨタは、北米を中心に大規模な工場を相次いで建設しているためだ。財務改善に追われるGMに対する優位は、当面続くことになろう。




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