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| 小泉・安倍政権で先送りされてきた消費税「増税」論議がようやく動き出した。経済財政諮問会議で社会保障とその財源をめぐる中長期的展望(内閣府試算)が初めて示され、社会保障費と税制の一体的改革が俎上に上ってきたからだ。 国民の「安全・安心」に直結する社会保障と消費税を結び付けて考えるという点では、過去の消費税論議に比べて大きな変化である。「問題を先送りしない」と一歩踏み込んだ首相の姿勢は評価されてよい。急速に進む少子高齢化や団塊世代の受給世代入りなどを考えると、負担・給付の調整だけで制度が維持できるとはとうてい思えない。その意味で政府が「増税」を一つの選択肢として示したのは一歩前進だろう。 ただ、「社会保障」かそのための「増税」か、という選択には、忘れてはならない重要な視点がある。一つは、社会保障費を含め国費全体の歳出削減の手を緩めてはならないこと。与党内には、改革の「痛み」への配慮と称して、バラマキ形の予算復活を求める声もある。どうせ「増税」するのだからという姿勢では、国民の理解は得られまい。 もう一つは、年金、医療、介護制度について、現行の「制度」がはたして適正なのか、必要なら「制度」そのものを見直すという視点である。問題の年金制度にしても、世代間格差の解消や各種年金の統合、保険料徴収体制の効率化など課題は多い。今後は、高額所得者の給付制限や既受給者の受給見直し、さらに最低保障額の基礎年金の税方式化などの「制度改革」が不可欠だ。介護保険も強制的な「皆保険制」(40歳以上の強制徴収)のままでよいのか、再検討が必要だろう。 内閣府の試算によると、2025年度の「増税必要額」は、現行の給付水準を維持するために負担水準を3割程度引き上げたとしても、8・2〜14・4兆円に達するという。これを消費税の増税ですべて賄えば、現実的には2ケタの税率になるのは間違いない。 こうした消費税の「大増税」を抑えるには、歳出削減の続行と社会保障の「制度改革」とともに、政府に野放図な歳出を許さないよう、消費税の使途を社会保障に限定する厳格な目的税化が必要だろう。目的税化の実現にはさまざまな課題はあるが、マクロ経済的に見てプラス面も多い。「老後の安心」を得るための「消費税」であれば、増税による消費減退というショックを和らげる効果があり、一方で負担の世代間格差の縮減にも役立つ。 社会保障と税制の一体改革は避けては通れない。しかし、消費税「増税」による「食い逃げ」は許されない。与野党とも社会保障の制度改革などには言及するが、肝心の消費税の目的税化については、財政当局のけん制もあるのか、なぜか口が重い。 福田内閣にとって、消費税「増税」は極めて重い政治課題だが、この際、社会保障のための目的税化とセットにして、改めて国民の信を問うという決断が必要ではないか。 |
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