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経済評論家 小倉 豊
G7、日銀には痛い結果
世界経済下振れ認識で利上げ封印
サブプライムローンによる市場混乱は、業績が悪化した米大手証券のメリルリンチのトップが解任される事態にまで発展した。米有力エコノミストも、サブプライムの影響が金融市場を越えて、(個人消費など)実体経済にまで波及するのは、来年に入ってからだと、問題の長期化を予測している。10月下旬にワシントンで開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、2月の会合と比べて、様変わりといっていいほど弱気の声明を発した。日銀としても、国内経済の堅調だけを背景に、早期に利上げに動ける状況が失われたのは間違いない。

前回、2月のG7の声明は、今から振り返れば無邪気なほど強気だ。当時から、原油高騰などインフレの懸念はあったはずなのだが、それでも「世界経済は過去30年超で最も力強い持続的拡大を経験し、よりバランスのとれたものになった」とし、インフレなき持続的成長をうたった。それから比べれば、今回はまさに急転直下の暗転だ。声明は冒頭近くで、「最近の金融市場の混乱、原油価格の高騰、米住宅部門の弱さは成長を減速させる」と、マイナスのシナリオを書き込んでいる。

「最近の金融市場の混乱」については、低所得者向け住宅ローンの焦げ付きによって、市場で資金の流れが滞り、金融機関も損失を抱える状況を指してる。一方、「米住宅部門の弱さ」は低所得者向けにとどまず、中産階級以上にも広がりかねない問題をはらんでいることに注意が必要だ。住宅バブルの崩壊が個人消費などに影響するのが「来年以降」とする見方の背景には、サブプライムを超えた問題が存在すると考えられる。

日本経済は米国に大きく依存していることは否定できない。そうだとすれば、サブプライムや原油高が米経済の大きな減速懸念になっていることは、追加利上げの意欲を抱く日銀にとって逆風だ。次のG7会合までに、環境が劇的に好転する見通しは極めて乏しい。

楽観的な展望を描くとするなら、日本ではサブプライムの影響が薄いうえ、日本円金利が主要国の間で格段に低い水準にあることが前提になる。そのうえで、米国の個人消費の最大のイベントあるクリスマス商戦が絶好調となり、日本もアジアへの輸出増を背景に、生産が大きく伸びるようなサプライズが必要になる。

ただ、それでも、サブプライムという債権を担保にリパッケージした証券を、さらにリパッケージしたような奇奇怪怪の証券が金融市場に出回り、誰がどのくらいリスクを抱えているのかわからない、こうした市場の不定形の不安感が払拭されないと、日銀も既に数字で表現された「指標」を根拠に利上げに動くのはなかなか難しいと思われる。




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