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経済評論家 小倉 豊
妙手となるか、サブプライム基金
疑心暗鬼の市場に安心感を
米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きをめぐって市場の混乱は止まらない。東京でも日経平均株価が今週、1万5000円を下回り、米国の景気の先行き不安から為替相場も1j=110円を割り込む水準までドル安が売られた。

サブプライム問題がやっかいなのは、ローンを担保とした証券が、さらに再加工されて広く分散したため、汚染された証券と健全な証券の区別がつかないことだ。米大手銀行は、8〜11兆円の救済基金を作ることを、米財務省の後押しで決めた。これが、40兆円を超す投資会社の塩漬け証券を解きほぐせるか、沈静化の当面のかぎになる。

市場では、サブプライムローンを組み込んで加工に加工を重ねたCDOなどの証券がまったく売れなくなった。これを資産として保有しているのはSIVと呼ばれる投資目的会社。実は、SIVは銀行劣後債関係など、まともな資産もさまざま持っているのだが、市場は疑心暗鬼になってSIVに信用供与(お金を供給)する相手がいない。

恐れるべき事態は、SIVの金詰り破綻が次々に連鎖する金融危機。これを止めるのが、差し迫った住宅ローンバブルの後始末だと言える。

SIVの金詰り共済基金を設定するのは、シティ・グループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースの3行。基金の機能はまだ詳細に決まっていないようだが、はっきりしているのは、SIVの換金要請に応じるのは、証券の中身を査定した格付会社がAAA、AAと認定し健全性にお墨付きを付けたものに限ることだ。これによって、SIVは極度の金詰りから開放されることになる。

ただ、SIVをはじめ金融機関がサブプライム問題で直面するのは金詰りだけではない。引き続き重荷になるのは、住宅ローンが払えなくなった低所得者の焦げ付きが、回りまわってSIVや金融機関が損失処理を迫られる事態だろう。

結局のところ、救済基金は、SIVが金詰りから資産の投売りに走って市場を一層混乱させることを防ぎ、最悪の金詰り連鎖破綻を防止する役割を担うものだ。あるエコノミストは、救済基金の機能について、「スープの中にごみ(サブプライム)が入ったために、全体が飲めなくなった。これをろ過することが必要」と表現している。

この例えが当たっているなら、救済基金で時間をかせぐとともに、残ったごみの処理が必要になる。米国の金融セクターがそれに耐えられるか、試される時が来る。



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