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経済評論家 舟泊良章
メードインジャパンの将来
「安かろう、悪かろう」では悲しい
クリスマス商戦が始まった米国で、中国製品を敬遠する動きが広まり、消費の足を引っ張る一因になる様相だ。

理由は簡単。中国製のペットフードや練り歯磨きに毒物が入っていたり、玩具に有害な鉛が含まれていたりといった事例が相次ぎ、信頼が大きく傷ついていたためだ。中国は世界の工場ともいえるだけに、米国のみならず多くの国々が中国製品なしでは生活が成り立たない。

問題の国際化を受けて中国政府は対策を強化し、安全性をアピールするのに躍起だが、こうした状況を「対岸の火事」と眺めていられるだろうか。

◆相次ぐ偽装

中国製品のように国際問題化はしていないが、日本のさまざまな業界で「偽装」が長年行われてきた事実が明らかになっている。

その広がりには驚かさるばかりだ。三重県伊勢市の老舗和菓子「赤福」や北海道のチョコレート菓子「白い恋人」といった食品メーカーによる消費期限の偽装、元一級建築士の姉歯秀次被告によるマンションの耐震偽装、大手建材会社ニチアスによる建材の耐火性能偽装などなど。こうした不正行為が世論の強い非難を浴び、経済同友会の桜井正光代表幹事は「もういいかげんにしてほしい」と嘆いたほどだ。

今のところ、輸出品には不正がないようだが、「偽装」行為の露呈により世界中で信頼されている「日本ブランド」が傷つかないとも限らない。

戦後日本は、製造業を基礎とした貿易立国として復興を果たした。しかし、その初期における「メードインジャパン」製品の多くは戦前の影響もあって「安かろう、悪かろう」と言われ、粗悪品の代名詞だった。その後、品質向上と改善の努力を続けた結果、高い評価を得ているのは誰もが認めるところだ。

◆利益重視

このメードインジャパンへの信頼が安泰であり続ける保証はどこにもない。だからこそ、相次ぐ偽装事件に憂慮の念が絶えないのだが、その背景には常識の範囲を超えた手法による利益追求の経営姿勢が透けて見える。

利益を上げることは当前の企業行動なのだが、姉歯元建築士の耐震偽造は人命に関わる。また、「食の安全」を軽視した利益第一主義が許されるはずもない。

こうした姿勢は、1990年代に起きた「バブル崩壊」後のいわゆる「失われた10年」と全く関係がないと言えるだろうか。

この間、経済のグローバル化や自由化、市場経済化、規制規制が進められ、多くの日本企業が経営再建に向けて米英流の利益重視も迫られた。

その結果かどうは別にして、社員削減などリストラが進められ、労働法制などの規制緩和などもあってリストラされた正社員を埋め合わせる形で派遣・請負労働者が増加。格差拡大の弊害が指摘されるまでになっている。

利益重視が強まるのと並行して先人たちが心血を注いだ品質や安全性の向上、物づくりをめぐる情熱と誇りを企業や企業人が失いつつあるのではないか。メードインジャパンの信頼が保たれている間に検証しておくべき課題だ。



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