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経済評論家 原田淳也
消費税「棚上げ」のいつか来た道

自民党税制調査会は先週、来年度税制改正大綱を決定したが、焦点の消費税増税を含む税制の抜本改革は見送られた。「すべては選挙に勝つための改正」(伊吹自民幹事長)というように、選挙戦には不利な増税の「苦い薬」は棚上げし、一方で道路特定財源では「バラマキ復活」と自動車諸税の恒久化を打ち出した。

福田首相は当初、消費税増税に前向きの姿勢を示していたが、増税論議が選挙の争点になるのを恐れてか、税調幹部らの強力な指揮に腰砕けとなったようだ。その間、「霞が関の埋蔵金」(特別会計の剰余金などの捻出)騒動などもあって、消費税を社会保障財源に回すという自民党内の財政再建派の主張はあっさり退けられた。

確かに、大きな「増税」なしに今後の財政需要をすべて賄えれば、心配は要らない。しかし、劣悪な借金財政に加え、現行の社会保障制度を前提とする限り、拡大する給付と負担のインバランスには歯止めを掛けようがない。団塊世代が受給者の側に回って高齢化が一段と進めば、近い将来、財源が枯渇するのは誰の目にも明らかだ。

歳出削減、無駄遣いの見直しはもちろん必要だが、話題となった「埋蔵金」は所詮、一過性の収入にすぎない。前内閣の「増税なき成長戦略」が崩壊しつつある今、「埋蔵金探しで一時的に穴を埋めても、増大する社会保障費を賄うのは無理」(財政再建派)という見方の方が、はるかに説得的だろう。

このジレンマを解決するには、@社会保障制度そのものの抜本改革A「高福祉・高負担」か「低福祉・低負担」かの国民的選択B「大砲かバターか」を含めた歳出項目の整理―について正面から向き合うしかない。選挙に有利な道路財源の方はちゃっかり温存しつつ、消費税問題は先送りというのでは、その場しのぎの人気取り政策と言われても仕方あるまい。

福田首相は就任時に政治への「信頼回復」を掲げたが、「指導力なき理念の政治」では結局のところ何も動かない。消費税論議については、小泉政権の「任期中の増税はない」発言、安倍政権による抜本改革先送りと続き、今回の福田内閣で3代続くことになる。

しかし、消費税「棚上げ」はいつか来た道ではないが、必ずしも選挙に有利とは限らない。現に前政権は参院選で大敗北を喫した。年金不祥事に対して、消費税とリンクした年金制度改革にもっと前向きに取り組んでいれば、事態は変わっていたかもしれない。

政策決定の機軸を「選挙モード」に切り替え始めた福田政権の下で、今何が起こっているか。厚生労働省の肝炎患者訴訟をめぐる対応や、国土交通省の道路整備計画に見られるように、官僚の面従腹背的な「反乱」だろう。それは、目先の政治的な損得で、将来を見据えた「改革」の潮流を止めてしまうことにもつながる。世論調査で福田内閣「不支持」の理由に「政策が悪い」ことが挙げられたことと、決して無縁ではない。



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