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経済評論家 原田淳也
「ガソリン・道路国会」の不毛

「道路」と「ガソリン値下げ」をめぐる政府与党と野党間の対立が続いている。暫定税率維持のための「つなぎ法案」提出は見送られたが、国会論戦の先行きは不透明このうえない。「ねじれ国会」の産物とはいえ、政治的な駆け引きばかりが横行する政治の現状は、哀れというほかない。

いま何よりも重要なのは、道路や暫定税率をめぐる国会審議を尽くし、国民への説明責任を果たすことであろう。その際、われわれが考えるべき基本的な視点は三つある。

@「道路」だけを税源面でなぜ特別扱いするのかA「必要な道路」はいったい誰がきめるのかB「道路」建設で地域経済は本当に活性化するか―である。

道路特定財源の複雑な仕組みはおくとして、毎年数兆円もの税収を中央、地方で「道路」に注ぎ込む構造は、一般会計の膨大な赤字を考えれば、「道路」だけは別会計と考える財政的根拠は乏しい。しかも、「道路」が他の政策目的に優先する今日的意味合いも薄れている。となれば、道路財源を一般財源化して政策順位を下げるほかなく、その際には当然、本則税率を上回る暫定税率の撤廃は避けられない。

ガソリン税の引き下げばかりが注目され、この一般財源化と「道路」優先論の可否は十分に議論されているとは言い難い。政府は昨年末、今後10年間の道路整備計画(59兆円)をまとめたが、そこには20年前の「4全総」で決めた全国1万4000`(高規格自動車道)の未完成部分がいつのまにかすべて盛り込まれた。ついこの前、「閑古鳥が泣く高速道」と揶揄されたはずだが、それらの採算性や必要性について、政府は具体的な根拠を示すべきだろう。

「必要な道路」は誰が決めるのか―特に地方道の場合、地域によって整備状況は異なるのだから、道路財源(地方税分)を一般財源化して、地域の裁量で他の政策との間の優先順位を決めればよい。道路整備にかかわる国の補助金や負担の問題もあるが、地域内の道路整備を最終的に監視するのは地域の住民であろう。

その際、「道路」整備が低迷する地域の景気浮揚に役立つという議論もある。だが、「道路」は一時的な財政効果はあるものの、その後の補修、維持管理コストを考えれば、財政負担は大きい。「ハコ物行政」と同じ轍を繰り返すようなら、真の「地方の自立」はない。

福田首相は、暫定税率を撤廃すれば「環境面にも影響がある」と指摘するが、狭い国土で貴重な山林を切り倒して不要な道路をつくることの「環境破壊」をどう考えるのか。いくら「環境サミット」の年とはいえ、「環境」を人質にとるような議論はおかしい。「環境」に配慮したいのなら、特定財源に代わる税目をつくればよいだけの話である。

「開かずの踏み切り」が必要などと言って、道路整備の本質論から逃げる政府与党も姑息このうえないが、一方の野党も「ガソリン値下げ」でただ民意を集めればよいという戦略では、いかにも視野が狭い。日本の政治は「子供の喧嘩」と言われないよう、財政論や景気対策、政策順位に即したもっと骨太の議論を政治は展開してほしい。

「道路」と「ガソリン値下げ」をめぐる政府与党と野党間の対立が続いている。暫定税率維持のための「つなぎ法案」提出は見送られたが、国会論戦の先行きは不透明このうえない。「ねじれ国会」の産物とはいえ、政治的な駆け引きばかりが横行する政治の現状は、哀れというほかない。



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