|
|
| |
| 「オバマ旋風」と格差拡大
|
|
| 米国次期大統領選挙の民主党候補指名レースでオバマ氏が「変革」と「融和」を訴えて草の根の支持を拡大、旋風を巻き起こしている。その背景には、米国民の6割が間違いだったと考えているイラク戦争に一貫して反対したオバマ氏なら事態を打開できるとの「希望」に加え、1980年代に始まった新自由主義経済政策で拡大した格差への不満や不安があるのは明らか。「オバマ旋風」は米国社会の新たなうねりを感じさせる。 新自由主義が再考の時期を迎え、米国にならって自由化や規制緩和を進めてきた日本にも影響が及ぶ可能性は否定できない。 新自由主義は、規制緩和や民営化、自由化、市場化、社会保障制度の見直し、減税などの経済政策をパッケージとして行うのが特徴で1980年代に米国のレーガン大統領、イギリスのサッチャー首相が推進した。米国は経常収支と財政収支の「双子の赤字」を抱えてスタグフレーション(不況下の物価上昇)に苦しみ、英国は福祉国家政策を起因とした慢性的な不況下にあったが、両国は民間経済の活性化を実現して不況を克服した。この時期、日本では中曽根康弘首相が国鉄やNTTの民営化を開始して、今日まで続く改革路線が敷かれている。 新自由主義は国際通貨基金(IMF)など国際機関を通じて世界的に広がり、経済のグローバル化が進んだが、その一方で、貧富の差も世界的に拡大。米国は1%の富裕層が全米の富の22%を握り、人口の16%に相当する4700万人が医療保険に加入できていない。格差は1929年の大恐慌時ベルにまで拡大していると言われる。 こうした現実を踏まえて民主党は、大統領候補指名争いを通じて、中間・貧困層の救済を訴え、ブッシュ政権に対して不満を抱く層の取り込みを図っている。 当初、圧倒的に有利といわれていた米国初の女性大統領を目指すクリントン氏は高額な医療費が原因で自己破産する中間層が増加している現実を踏まえて、国民皆保険制度の導入を提唱。無保険者への対策でオバマ氏よりも一歩進んだ立場をアピールする。 それでも、オバマ氏は2月の1カ月間に集めた選挙資金が5500万jに上り、3500万jだったクリントン氏を圧倒。そのほとんどが100j以下の小口献金で、いわゆる「草の根」の支持に支えられている実態を証明した。 支持拡大の理由の一つは、46歳という若さに象徴される、既存政治に染まっていない新鮮さにあるだろう。クリントン氏は政策能力の高さを訴えるものの、元大統領夫人の「旧勢力」として敬遠され、選挙民はオバマ氏が旗印に掲げる「変革」や「融和」に格差の是正、様々な社会的な亀裂の修復に向けた実行力を期待する構図だ。 オバマ氏が民主党の大統領候補に指名され、最終的に米国を率いるリーダーになるかどうかは不透明だが、「オバマ旋風」は、格差拡大を招いた新自由主義で貫かれている米国の社会経済政策が転換点を迎えていることの証左だと記録される可能性は否定できない。 |
|