『霞ケ浦からの発信U 自然・人間・技術・流域』
 「霞ケ浦宣言1995」と「琵琶湖宣言2001」の間
本書の目次より ハイライト 索引(人名機関・団体名地名
 1997年に刊行した『霞ケ浦からの発信T 霞ケ浦、21世紀へ 世界湖沼会議の記録 1995〜96』の続編。
 1995年10月、つくば・土浦市で第6回世界湖沼会議が開かれた。「人と湖沼の調和−持続可能な湖沼と貯水池の利用をめざして」をテーマに8200人が討論に参加した。行政、産業界、学界、住民によるパートナーシップの構築などを柱とする「霞ケ浦宣言」が採択された。霞ケ浦開発事業が完了し1996年4月、管理移行した。世界湖沼会議はその後、アルゼンチン、デンマークでの会議を経て、2001年11月、第1回開催地(1984年8月)でもある滋賀県琵琶湖で第9回が開催された。
 1995年秋の「霞ケ浦宣言」以降、各界の連携は、河川法改正や総合学習の創設なども追い風になり、環境保全活動を中心にかなり活発化した。1997年11月には、水環境修復技術・システムの開発を進めるため、産学官の地域結集型共同事業、霞ケ浦水質浄化プロジェクト(5カ年事業)がスタート。2002年10月の完結を前にその成果に期待と注目が集まっている。1995年の世界湖沼会議で県が設置を表明した霞ケ浦環境センター(仮称)は、2005年度には開所の見通しとなった。「流域管理は、法律、政治、行政、住民と技術革新の相互作用によって前進する」(本書554ページ)。
 第6回会議以降の各界の取り組みを概観できるよう、『霞ケ浦からの発信U 自然・人間・技術・流域』には、9月1日恒例の「霞ケ浦の日」特集をはじめ、随時企画・掲載した座談会やインタビュー、連載などの中から計69本を収録した。弊社が2002年1月に第1回授賞式を行った「かすみがうら水環境賞」の制定記念特集と連載記事も含まれている。
 B5判、566ページ。4段組み(17字×30行)。定価6300円(税込)。重量1150グラム。ISBN4−921088−12−8。
 弊社にとって初のCD−ROM付き出版。テキスト版とPDF版の2種類を収録しており、パソコンで記事を検索できる。常陽新聞のホームページで人名、団体・機関名、地名索引を掲載している(一般事項索引は作成中)。

本書の構成(もくじより)

第一章 1996年(平成8年)
 1、座談会「廃棄物処理とつくばの役割」               2
 2、座談会「BMW技術と環境保全」                 8
 3、「身近な水辺を見直そう−美浦サミット」            15
 4、「よみがえれ霞ケ浦、梶無川サミット」             21
 5、特集「第6回世界湖沼会議から1年」              28

第二章 1997年(平成9年)
 6、「水郷潮来サミット−身近な水辺の再生を考える」        38
 7、琵琶湖開きを見る かすみがうら女性懇話会           43
 8、県の霞ケ浦行政 Q&A                    48
 9、霞ケ浦の下水道 Q&A                    56
10、霞ケ浦の農村下水道 Q&A                  60
11、グラフ「新・かすみがうら湖岸の光景」             64
12、水資源開発公団・大塚所長に聞く                66
13、霞ケ浦の水道 Q&A                     73
14、座談会「霞ケ浦用水の現状と課題」               77
15、霞ケ浦導水工事事務所・清水所長に聞く             87
16、霞ケ浦環境創造ビジョン Q&A                97
17、シンポジウム「霞ケ浦とともに創る地域の未来」        102
18、かすみがうら女性懇話会 琵琶湖研修             111
19、(寄稿)第7回世界湖沼会議アルゼンチンからの報告 沼尻 篤 116

第三章 1998年(平成10年)
20、座談会「いのちの水を守る生活のあり方を考える」       124
21、かすみがうら女性懇話会 霞ケ浦研修             132
22、霞ケ浦の話題98                      136
23、霞ケ浦工事事務所・富田所長に聞く              140
24、霞ケ浦工事事務所・5出張所長に聞く             149
25、インタビュー「霞ケ浦管理の現況と課題」           155
26、インタビュー「霞ケ浦導水事業の現況と見通し」        163
27、インタビュー「霞ケ浦用水の現況と課題」           175
28、「広域化する水利用」図表で見る               183

第四章 1999年(平成11年)
29、県生活環境部・長嶺部長に聞く                186
30、「霞ケ浦みどりの募金」1周年                189
31、霞ケ浦この一年                       194
32、座談会「霞ケ浦の環境保全と女性が担う市民活動」       196
33、水資源開発公団・住谷所長に聞く               207
34、座談会「安全・快適、環境との調和をめざす水面利用」     215
35、霞ケ浦導水工事事務所・藤生所長に聞く            224
36、県霞ケ浦用水事業推進事務所・古山所長に聞く         235

第五章 2000年(平成12年)
37、座談会「霞ケ浦浄化プロジェクトが目指すもの」        244
38、座談会「霞ケ浦北岸地域の将来展望を語る」          251
39、グラフ「霞ケ浦みどりの募金」今春の植樹カ所         261
40、(寄稿)タイ・ソンクラ湖を訪ねて 沼澤 篤         263
41、第3期水質保全計画、最終年度へ               269
42、霞ケ浦流入河川の水質推移                  272
43、座談会「建設省の霞ケ浦行政の現状と課題」          274
44、座談会「霞ケ浦南岸地域の連携策を探る」           285
45、座談会「霞ケ浦ふれあいランドの課題と展望」         298
46、霞ケ浦導水異色座談会「若い技術者の熱い思い」        308
47、霞ケ浦導水 Q&A                     318
48、水郷筑波国定公園の魅力度アップ策              329
49、世界湖沼会議から5年、本紙「霞ケ浦アンケート調査」     332
50、「霞ケ浦アンケート」再調査                 337
51、「つくば市湖沼流入河川シンポジウム」から          349

第六章 2001年(平成13年)
52、座談会「霞ケ浦との調和をめざす21世紀の流域社会」     356
53、座談会「電気化学的廃水処理装置」開発の現状と課題      364
54、座談会「第4期水質保全計画の課題と展望」          371
55、「水と緑のシンポジウム」から                381
56、(寄稿)フィリピンのラグナ湖を訪ねて 沼澤 篤       391
57、(連載)ワカサギを追って−減少の影響と原因         396
58、県生活環境部・五来部長に聞く                403
59、20回目迎えた「霞ケ浦条例施行日」             406
60、20回目の「条例施行日」核心に迫る20のキーワード     408
61、座談会「水質浄化技術開発の現状と課題」           429
62、インタビュー「管理移行から5年、現状と展望」        442
63、座談会「市民参加で進む霞ケ浦の環境保全」          449
64、(寄稿)みちのく汽水湖紀行 沼澤 篤            463

第七章 2002年(平成14年)
65、国土交通省霞ケ浦工事事務所・飛田所長に聞く         468
66、座談会「大詰め霞ケ浦浄化プロジェクトの成果と展望」     477
67、座談会「北浦の水質浄化を考える」              486
68、第1回「かすみがうら水環境賞」特集             494
69、(連載)霞ケ浦95と琵琶湖01の間
    −「かすみがうら水環境賞」制定記念            501

<資料>
 琵琶湖宣言(1984年)                    555
 霞ケ浦宣言(1995年)                    556
 琵琶湖宣言2001                       557
 霞ケ浦に係る湖沼水質保全計画(第4期)             560

 霞ケ浦における負荷割合の現況(平成12年度、COD)    36
 第4期の霞ケ浦に係る湖沼水質保全計画の施策体系     122
  霞ケ浦の水質の経年変化(COD、全窒素、全リン)       354
ハイライト

 〇…生産、流通、消費という経済活動の中で、循環型の構造に変えて行く必要があると思います。ただ、口で言うのは簡単ですが、実際には廃棄した方が安上がりで得をするわけですね。そこで、廃棄の方が高くつく仕組み(例えば有料化)が必要です。
(安田八十五氏、筑波大学)
 →8P




 〇…土づくりをきちんとやれば、米やサトイモ、ゴボウなど本当にすばらしいものができます。旬ずくしに「究極のケンチン汁」を作って、おいしい日本酒を飲み、おいしい米をいただく、これが日本食の原点です。
(清水澄氏、茨城BM自然塾)
 →13P




 〇…「いたぞ、いたぞ、おおきなザリガニがいたぞ」。男の子の大きな叫び声がした。まわりの友だちが一斉に走り出した。それからいろいろな生き物が取れた。タニシやオタマジャクシ、ドジョウなどが取れた。顔よりも大きなカエルがつかまえられたときは本当にびっくりした。
(森作浩子さん、玉造町立現原小)
 →23P




 〇…鍵は、霞ケ浦に関する「わたしの発見」を「わたしたちの発見」にすることです。現状認識が「わたし」レベルに止まっているうちは無効です。(霞ケ浦環境)センターには、研究者だけでなく、行政、市民、大学、社会団体などが加わり、「わたしたち」にする役割があります。
(長谷川幸介氏、茨城大学)
 →30P




 〇…(霞ケ浦は)満々と水をたたえていますが、生物がいなくなったのは寂しく、何か風格を失ったように感じられます。自然の掟に従って、そこに生命が息づいていることの豊かさゆえに、あれだけの絵が描かれ、歌が生まれたと今、当時を懐かしんでいる次第です。
(高塚雄三氏、潮来ホテル)
 →42P



 〇…人間は社会生活を営むため、法体系やいろんな規則を作りました。それを支えるには何かの基準、もしくは内的規範とでもいうべきものが必要です。その基準こそが「美」なのだと思います。
(栗山富夫氏、映画監督)
 →103P




 〇…これから何年かかかって、(霞ケ浦が)人々の英知で浄化され、首都圏に一番近い環境教育の場になれば、第1次〜第4次を超えて第5次産業の聖地を作れるように思います。それには、単に今の時代に受けることではなく、各地域で一級のものを作ることが重要だと思います。
(政所利子さん、国土庁地域振興アドバイザー)
 →108P



 〇…(京都の祇園祭は)外からみると統制がとれていますが、山鉾の一つ一つの掛物は町人自身の宝で、見せたいという個人的欲望に基づいている。大変なエゴイズムだけれども、全体を見ると統合されていて美しい。
(佐賀純一氏、医師・作家、『霞ケ浦風土記』著者)
 →110P



 〇…霞ケ浦の環境を考える場合、地域のさまざまな産業や教育などの社会活動と結びつけることが重要と認識しています。
(富田和久氏、建設省霞ケ浦工事事務所)
 →148P





 〇…子供は帰ってくるなり、「お母さんすごいよ、霞ケ浦って。船に乗せてもらったんだけど、すごいスピードが出たんだよ」とすごくまくしたてたのです。夢中になって感動を語る子供の姿をみて、じゃあ今度は霞ケ浦や恋瀬川や山王川の面白い所を見つけてみようと、そういう視点に立つようになりました。
(佐々木佐恵子さん、環境グループ石岡)
 →200P


 〇…(タイのソンクラ湖辺では)黄衣を着た裸足の僧侶が先頭に立って、1日に20`bほど歩くという。タウィーブン博士は「地域住民と一緒に歩くことでその地域特有の問題を探り、住民とともに考えることが大事です」と言っていた。
(沼澤篤氏、霞ケ浦市民協会)
 →267P



 〇…小見川閘門に「論外」という場所があります。かつて千葉県側と茨城県側で土地論争があり、1800年ごろ茨城県側の土地と決まって杭を打ち、もう土地論争をする必要のない論外の区域になったというわけです。河川にまつわる、歴史的な面を顧みることは河川を考える上で、重要な手がかりになると思います。
(斎藤孝志氏、建設省波崎出張所)
 →276P


 〇…汚い霞ケ浦では、まず観光資源としては将来とも立ち行かないだろうと思います。観光を進めていく場合の思想として、水質など環境も浄化していくという地元の連携が基盤にないと難しいのではないか。
(田谷英夫氏、県霞ケ浦対策課)
 →293P




 〇…(第1次アンケート調査で「優先すべき霞ケ浦施策」として)「飲料水の安全性確認」の支持率が5年前に比べ倍増した理由について(再調査により)たずねたところ、回答者の4分の3が「環境ホルモンなど化学物質が心配だから」と答えた。(「霞ケ浦アンケート」再調査)
 →337P
















 〇…7月のセミナーに参加して、霞ケ浦を見た六郷町(秋田県)の友達が、「こういうふうにならないように六郷町を守っていきたい」と話していたのを聞いて、これが普通だと思っていた僕は、すごくショックでした。
(山田遼太くん、つくば市立東小)
 →352P



 〇…われわれが持っている情報をいかに皆さんに知らせるかが重要だと思います。「霞ケ浦の水質は横ばいだ」というだけでなく、その理由はまだ把握できていない部分もありますが、きっちりと解析・分析して、その結果をお知らせし、皆さんの協力をいただいて霞ヶ浦の浄化、植生などの保全・創生・創出を進めていきたい。
(飛田忠一氏、建設省霞ケ浦工事事務所)
 →359P


 〇…人間によって自然や美しい水が失われたとよく言われます。しかし、自然などは人間の知恵で取り戻す可能性がまだ残されています。人間によって失われた自然を取り戻すことは実はものすごく大変なことですが、そこにスポットを当てていただきたいと思います。
(村松正明氏、建設省霞ケ浦導水工事事務所)
 →363P


 〇…森林を増やしてほしい。少なくとも減らすことは止めなければいけない。しかし、水源地がこんな状況にある(霞ケ浦流域の森林率はわずか20%)という認識が住民の間に足りない。森林面積の確保・拡大に向けて、そろそろ動き始めていいのではないか。
(田渕俊雄氏、日本学術会議)
 →377P



 〇…従来の護岸は直立の矢板、コンクリートブロック、コンクリートなどで造られているのが一般的ですが、多自然型護岸は生物に配慮して、捨て石、間伐材、ヨシなどの植生を利用して造られています。今後は学識経験者や漁業関係者の意見などを参考にして、霞ケ浦の利活用が図れる水際線の創出を模索したい。
(遠藤信夫氏、水資源開発公団霞ケ浦開発総合管理所)
 →446P


 〇…以前は、集落から出た汚水が土水路に繁茂していた植物で浄化され、まさに「春の小川」が流れていましたが、今は浄化作用のないコンクリート水路になり一気に流出してしまう。川がドブ川化した大きな理由だと思います。
(飯竹泰助氏、霞ケ浦問題協議会)
 →457P



〇…皆さんの話を聞きながら考えていたことは、(水環境の改善にかかわる)「霞ケ浦方式」「茨城方式」の中に、技術以外の情報を出していかなければならない。つまり、環境に対する考え方も普及していかねばならない。それが全部合わさっていないと「霞ケ浦方式」と言えないのではないか。
(前川孝昭氏、筑波大学)
 →483P

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